このホテルの代名詞といえるのが「雲海」。この雲海をテーマにしたプラン「雲ガールステイ」をゲストライターの田喜知が報告。おすすめの過ごし方を紹介します。
「星野リゾート トマム」は、北海道のほぼ中央にある滞在型リゾート。約1000haもの敷地には、全室スイート仕様の「リゾナーレトマム」やカジュアル派向きの「ザ・タワー」といった2つのホテルがあり、ラフティングやキャニオニング、アウトドアクッキングのほか、自然をフィールドにしたアクティビティも充実。なかでも、絶景を望める「雲海テラス」はグリーンシーズンのトップレジャーとなっています。
<2014年のウインターシーズンの滞在記事はこちら>
https://www.tabikoi.com/hoshino/post_4/(前編)
https://www.tabikoi.com/hoshino/14/(後編)
「雲ガールステイ」は、このリゾートの目玉「雲海」をたっぷり堪能できる2泊3日の宿泊プラン。7月から10月中旬の雲海シーズンに1日1組(2~3名)限定で、雲スイートルームに宿泊し、雲海スパトリートメント・雲海ウォッチング・雲ディナー・雲パーティー・雲あさごはんの5つの雲体験企画でもてなしてくれます。雲を見て、食べて、体験して、雲の中にいるような癒しのステイを楽しめます。
テンションが上がる「雲スイートルーム」
*** 1日目/15:00 チェックイン ***
ステイ先は、「リゾナーレトマム」の27階にある「雲スイートルーム」です。館内でたった1部屋しかないスペシャルルームで、広さは100㎡とゆったりしたスペース。窓外には、トマムの雄大な自然を望めます。
何より気分が上がるのが、至るところに散りばめられた雲アイテムの数々。ベッドルームのインテリアは空色のトーンでまとめてあり、雲をかたどった真っ白なダブルベッドは思わずダイブしたくなるほどフカフカです。リビングルームは、雲をデザインした壁紙やソファが囲むファンシーなインテリア。クッションやマグカップといった雲形のグッズも揃い、クローゼットを開ければハンガーまで雲のフォルムです。
気象条件が整った早朝には、眼下に雲海を見渡せるのもうれしい点。窓際に下がったハンギングチェアに揺られて眺めれば、まるで雲の上に浮かんでいるような気分です。
とっておきは、展望ジェットバスでの「雲泡(くもあわ)バスタイム」。バスタブは、3人で入っても余裕のビッグサイズで、これを専用のバスボムを使って溢れんばかりの泡でいっぱいにします。純白のバブルバスはふわふわの感触で、まさに雲そのもの。トマムの大自然を借景に、開放感たっぷりの優雅なバスタイムを堪能できます。
*** 1日目/18:00 「ホタルストリート」で夕食&アフターディナー ***
初日のディナーはフリー。トマムに20ある飲食施設から、最新スポットの「ホタルストリート」へ。道産牛を味わえるステーキハウスやテイクアウトグルメの店など8つのレストランとカフェ、アウトドアのセレクトショップが集まっており、夕食にもアフターディナーにも活用できるのが魅力です。
なかでもcafe&bar 「つきの」は、この季節におすすめの1軒です。7・8月の2ヵ月間は「とうきビアガーデン」を開催中で、王道の醤油バターをはじめ、カレーやチーズバター、メイプルシナモンといったデザートタイプまで、6種類の味のトウモロコシを楽しめます。また、10種類の北海道のクラフトビールもラインナップしています。
今回は、すべてのとうきびメニューをテイスティング! お気に入りはサーモンで、旨みの濃いサーモンも、合わせたサワークリームの酸味も、甘みの強いトウモロコシと相性抜群。また、1本を丸ごと唐揚げにしたフライドとうきびもクリスピーな食感がビールにぴったりで、サーモンと甲乙つけがたい味わいです。
チョイスしたビールの「コリアンダーブラック」は、個性的な飲み口。黒ビールにパクチーでフレーバーづけしてあり、パンチの効いた2つのトウモロコシと黒ビールならではのコクがよく合います。清涼感のあるパクチーの風味がほんのりして、すっきりした後味です。
雲海スパトリートメントにうっとり
*** 1日目/22:00 ***
雲体験のファーストステップは、オリジナルスパ「SPA Etuk -スパ エトク-」での「雲海スパトリートメント」。雲海のようにモコモコにホイップした泡で背中をクレンジングした後、シラカバオイルやハスカップのジェルによるトリートメントを受けられます。
きめ細かでモッチリした泡は、ソフトな感触。肌に触れるだけで、とてもリラックスできます。また、ミネラルたっぷりのシラカバオイルは、抗菌効果や血液の浄化作用などが期待できるアロマオイル。ウッディな香りが心地よく、ジェルで肌をしっとり潤してもらうと心身ともに蘇ります。
早起きして雲海ウォッチング&気球体験
*** 2日目/5:00 ***
2日目は早起きして、このプランのメインイベント・雲海ウォッチングへ。トマム山の山腹、標高1088mのポイントにある「雲海テラス」から、パノラミックな雲のじゅうたんを眺める大人気アクティビティです。雲海テラスへは、山麓から雲海ゴンドラで約13分。山頂駅で降りるとすぐに、「てんぼうかふぇ」を併設した「港デッキ」、ソファ席のある「灯台デッキ」といったメイン展望台にアクセスできます。雲海テラスには、多い日には1日3000人が訪れることも。夏でも気温が10度を下回る日も珍しくないので、防寒対策は万全に。
トマムの雲海は気象条件が整うと、雄大な自然の上にダイナミックな雲のヴェールが広がり、トマムの大地が幻想的な姿に一変します。雲海を見られる確率は約40%ですが、雲ガールステイには2日分のゴンドラチケットが付いているので遭遇率がアップ。滞在2日目、3日目と、2度チャンスがあります。
なお、ここで発生する雲海は数タイプあり、それぞれに異なる表情も見どころです。もっとも見ごたえがあるのが、太平洋で生まれた海霧が日高山脈を乗り越えて流れ込んでくるタイプ。層が厚く、滝が現れたかのように景色をすっぽり覆いこんでしまう迫力で、まさに「一生に1度は見たい絶景」です。
このほか、星野リゾート トマムでは、山頂駅周辺に散策路を整え、沿道に展望スポットを点在させる「クラウドナイン計画」を進行中。210度の景色を見渡せる「クラウドウォーク」や船の舳先のような形の「スカイウェッジ」など、すでに4つが誕生しています。
なかでも、「クラウドプール」はいち押し。縦横最大10m幅の雲形フレームをもつジャンボネットで、張りめぐらせたロープを伝いながらアスレチック感覚で楽しめます。天空にせり出しているうえ、底が丸見えなのでスリリングですが、足元すれすれにうまく雲海が現れると、まるで雲に浮かんでいるようで感動的!
また、のんびり雲の動きを眺めたいという人は、山の傾斜にあわせ、段々畑のようにベンチを並べた「コンターベンチ」がおすすめです
そして、この秋にも新たに2つの展望スポットが登場予定。地上3mの高さに長さ13mのカウンターをつくる「クラウドバー」など、想像するだけでもワクワクする内容です。
雲海テラスには昨シーズンまでに延べ約87万人もの観光客が訪れており、今シーズンは、いよいよ100万人を突破するのが確実。該当者には、素敵な企画も予定されているそうですよ。
*** 2日目/6:30 早朝気球フライト ***
雲海とあわせて体験したいのが、「早朝熱気球フライト」(有料、)。約5分間の係留フライトですが、ゴーッというバーナーの迫力とともに空に舞いあがり、360度の大パノラマで見渡す景色は壮観です。朝の清らかな空気を感じながら、トマム山を眺めたり、広々とした草原に目をやったり、運がよければ、園内に棲む鹿などの野生動物が見つかることも。雲海とはひと味違った空の旅を満喫できます。
部屋で休憩後は清々しい牧場へ
*** 2日目/13:00 「牧場ラウンジ」でピクニック ***
トマムに広がる90haのファームエリアでは、ヤギや羊がのんびり芝生を食み、北海道らしいムードが漂います。今春、そんなのどかな風景の中に登場したのが、「牧場ラウンジ」です。ウッドチップを敷き詰めたスペースに、牧草を使ったソファや丸太のテーブルなどナチュラルテイストの家具が点在。自由に使え、フード類の持ち込みもOKなのでランチタイムのピックニックに最適です。
実は都会っ子の私は、牧草に触れることすら初めて。てっきり、ソファはハイジのベッドのようにズボッと埋まってしまうのかと思っていました。ところが、想像以上にしっかりした造りで、腰かけても型崩れせず快適な座り心地。まわりに見える緑豊かな山々も、そこかしこから聞こえる動物の鳴き声も、気持ちを大らかにさせてくれ、絶好のリフレッシュタイムです。
また、「モーモーカヌーで行くカヌーピクニック」(有料)も、涼やかな水辺で過ごすアクティビティでおすすめ。敷地内にある池でカヌーを楽しみ、カヌーでしか辿り着けないピクニックスポットへ向かいます。ビギナーでも、送迎はガイドが一緒なので安心。1日1組限定で、誰にも邪魔されずにプライベートピクニックを満喫できます。軽食やチーズケーキ、ドリンクなどが入るピクニックボックス付きです。
雲ディナーや雲パーティーで今夜は最高!
*** 2日目/18:00 ***
早朝から、思いっきりリゾートを満喫した2日目。夕食の「雲ディナー」も、遊び心がいっぱいです。
会場のプライベートダイニングの「ミナ」または「カント」では、アミューズからデザートまでの6品に、食後の飲み物&小菓子が付いたフランス料理のコースを味わえます。どの品も雲海にインスピレーションを得ているのが特徴で、雲海の一生をストーリー仕立てにして楽しませてくれます。
まず、アミューズは柑橘のジュレでコーティングしたマンゴーを月に見立て、夜明けをイメージ。
前菜では、朝露の風景を表現しています。彩り豊かな野菜を散りばめた皿にドライアイスを仕かけてあり、まるでトマムの雲海を見るようです。さらに、茶色のオリーブパウダーで大地を、ゼリーで粒状に固めたホワイトバルサミコで朝露をあらわすなど調味料すらプロデュース役にアレンジ。味わいはもちろん、アイディアを凝らした演出もこのディナーの醍醐味です。
その後は、トウモロコシの冷製スープ、テーブルサイドで蒸し焼きにする白身魚の料理へと進み、水蒸気が冷やされ雲ができるまでのプロセスを表現。
牛肉のステーキを味わう肉料理で、ストーリーはいよいよクライマックスを迎えます。テーマは、「雲海の広がり」。ディッシュカバーの中に桜チップのスモークを満たし、目の前で開けるパフォーマンスが披露されます。スモークの合間から肉厚のステーキが現れる様子は、プレミアム度満点。旨みたっぷりのお肉はとても柔らかく、満足感たっぷりです。
最後にデザートを味わい、名残惜しくディナータイムは終了。どの料理ももてなしの心にあふれ、あっという間の2時間です。
一番印象に残ったのは、トウモロコシの冷製スープ。トウモロコシのエキスが詰まったゆで汁のゼリー、スープ、ミルクフォーム(泡)の3層仕立てになっており、冷えた空気が凝結し、液体から雲に変わっていく様子をあらわしています。流石のアイディアに加え、味も食感の楽しさも様々に楽しめ、秀逸のセンス。自他ともに認める食いしん坊の私ですが、ゆで汁のゼリーは初体験です。意外なほど、トウモロコシの風味を感じるのには驚きでした!
*** 2日目/20:00 ***
ディナーの後、滞在最後の夜を彩るのが「雲パーティー」です。夕食後部屋に戻ると、ベッドルームがパーティー仕様にアレンジされているサプライズ。部屋いっぱいに白やブルーの風船が浮かび、まるで雲海に包まれたようなムードです。
テーブルには雲をかたどったクッキーやドリンクも用意され、パーティーのスタンバイは万端。おしゃべりで盛りあがったり、ほろ酔い気分を楽しんだりしながら、この旅を振り返るのにピッタリのゆる~い時間を過ごせます。
雲あさごはんのあとはハンモックでお昼寝
*** 3日目/8:00 ***
「雲あさごはん」は、トマムで見られる雲海がテーマ。2種類揃うおかゆがメインで、食事の際に一方を選べるのが魅力です。
ひとつはカニやホタテ、サケといった魚介を具に、日高昆布のだしを利かせた「太平洋産雲海おかゆ」。もうひとつは鶏だしの餡をかけた「トマム産雲海おかゆ」で、旬の野菜がふんだんに入ります。
どちらも雲海を模した泡が添えてあり、食材に恵まれた北海道ならではの具だくさんの内容。ボリューム満点ながら、ペロリと平らげてしまえる上品な味わいです。
また、米で育てたニワトリの卵を使い、雲形に仕上げた「白いだし巻き卵」も、この朝ごはんの名物。ふんわりした食感で、目覚めの体にやさしい控えめな味付けです。このほか、ふっくらした身が特徴の魚「ネボッケ」、ゆり根のピュレを雲海に見立てた「アスパラの雲海仕立て」など雲づくしのメニューが並びます。
*** 3日目/10:00 「牧草ベッド」や「羊とお昼寝ハンモック」で2度寝タイム ***
朝食を済ませると、滞在も残りわずか。最後にもう1度トマムの自然に身を置き、パワーをチャージしておきたいところです。ファームエリアにある「牧草ベッド」は、フカフカで寝心地抜群。ほんのり草の香りが漂い、安眠を誘います。
また、大きなカエデの木陰に下がる「羊とお昼寝ハンモック」も、おすすめ。羊と同じ目線の高さに横たわれるので、「羊が1匹、羊が2匹……」と本物の羊をカウントしながら夢見心地になれます。クッションや羊毛のブランケットといった、肌ざわりのいいアイテムも揃い、ゆら~りゆらりと体が揺れると至福のひとときです。
特別感たっぷりの「雲ガールステイ」はおとぎの世界に浸れるだけでなく、アクティビティ、食事、サービスとも大人がしっかり満足できる内容です。女子会旅行のほか、カップルやファミリーでの利用にもおすすめですよ。
▼「雲ガールステイ」宿泊プラン
期間:~2018年10月13日(土)(10月15日(月)チェックアウトまで)
料金:2泊3日 2名1室/1名7万9000円~、3名1室/1名7万5000円~(税・サ込み) ※1日1組(2~3名)
予約:10日前までに要Web予約
星野リゾート リゾナーレ トマムHP:https://risonare.com/tomamu/summer/
(取材・文/田喜知 久美)