第8回 「星野リゾート 界 遠州」

2013111日、浜名湖かんざんじ温泉の一角に建つ「星野リゾート 花乃井」が「星野リゾート 遠州」に生まれ変わりました。早速、旅恋メンバーの塩見と山本が訪問し、浜名湖畔のデザイナーズ旅館の魅力とお茶処静岡ならではのお茶体験を満喫してきました。


 

和の意匠とモダンなデザインが融合した


全室レイクビューの湯宿


 


全国で10番目の界として誕生した「星野リゾート 遠州」は、浜名湖畔に面して建つ全室レイクビューの宿です。館内に入ると照明を落とした空間が広がり、和の意匠を凝らしたモダンな雰囲気に包まれて大人の隠れ家のようです。

 

 

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 シックな雰囲気に包まれるロビー

 


チェックインを済ませたら案内されるのがお茶選びです。フロント横に置かれた5つの静岡産の茶葉(この日用意されていたのは、天竜・川根・本山・玄米茶・ほうじ茶の5種類)から好きなものを選んで、茶筒に入れて部屋に持っていきます。客室でいただくお茶を自分でセレクトするというのは、さすがお茶処静岡ならではのサービス! 宿への期待も高まります。

 

20131207kaienshu1.JPG好きな茶葉を選んで、客室でじっくりと味わえる

 

今回のリニューアルにあたり、新設されたのがライブラリーラウンジ「包〜tsutsumare〜」です。目の前には浜名湖の眺めが広がり、天井は吹き抜けとなった開放的な空間。コーヒーや紅茶、日本茶のフリードリンクが楽しめ、旅やお茶などのテーマの書籍や雑誌が置かれています。浜名湖の景色やお茶の香りに包まれて、ゆったりと寛げます。そして宿泊客なら誰でも体験できる館内イベント「お茶三煎」(無料)もここで催されます(この体験については後ほどご紹介します)。

 

20131207kaienshu2.JPGお茶もコーヒーも楽しめるライブラリーラウンジ


 


客室は「遠州モダン」や「デザイナーズツイン」など趣の異なる6タイプ全32室。すべての客室からレイクビューを楽しめます。なかでもオススメは、3室のみの「露天風呂付特別室」。浜名湖を望む露天風呂と広いパウダールームを備えています。暖かな季節ならパウダールームの椅子を外に出して、眺めを楽しむ方もいるのだとか。贅沢な時間が過ごせそうです。

 

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ゆったりとした広さを誇る露天風呂付特別室


 

そして、私たちが宿泊したのは、1室限定の特別客室「遠州つむぎの間」。江戸時代から浜松に伝わる伝統工芸「遠州綿紬(えんしゅうめんつむぎ)」をコンセプトにしたお部屋です。素朴な風合いの遠州綿紬は、縞柄が特徴でその種類は100種以上とも言われています。

 

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1室限定の「遠州つむぎの間」 


 

客室の扉を開けるとほんのりと漂ってくるのはお茶の香りです。玄関で茶香炉が焚かれているのです。茶香炉の下に敷かれているのはもちろん遠州綿紬。他にもクッションやランプシェード、障子、ベッドランナーなど客室のアイテムに採用されています。

 

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遠州綿紬のアイテムが勢ぞろい!

手作りの下駄で知られる静岡の「みずとり」とコラボした下駄は、紬の鼻緒がかわいい 


 

「遠州モダン」タイプのお部屋と同じく、琉球畳にベッドが置かれ、窓際にはフローリングのリビングスペースが設けられた和洋室。リビングスペースにはローチェアが置かれ、ここから浜名湖の眺めを楽しむことができます。刻々と表情を変える湖面の景色は、見ていて飽きることがありません。障子を飾る遠州綿紬から差し込む光も穏やかで、ホッと心もほぐれてゆくようです。


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客室には茶器が用意されていて、チェックインの際に選んだ好みのお茶を楽しめます。お茶のお供にと「ぐり茶まんじゅう」が蒸し器にセットされていて、好きな時に火を付けて蒸し立てを味わうことができるのもうれしい配慮です。


 


 

 

 


趣の異なる2つの大浴場で


寛ぎの湯浴みを満喫


 


大浴場は男女交替制で2つあります。「華の湯」には、リニューアル時に露天風呂が新設されました。直径3mもある大きな樽風呂で、青森ヒバの香りが漂います。湯船の横には静岡の地酒が置かれるというサービスも。一面ガラス窓で開放的な内湯と、アロマの香りが楽しめるサウナも備えます。

 

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 左側が新設された、青森ヒバの露天風呂(華の湯)


 

もう一つの「湖都(こと)の湯」にも内湯と露天風呂があります。檜の内湯には、界 遠州オリジナルのお茶玉が浮かんでいます。これは静岡の無農薬の茶葉を包んだもの。お茶の成分は肌の乾燥や肌荒れなどに効き、リラックス効果もあるそう。屋根のある露天風呂では、緑の庭を眺めることもできます。こちらのパウダールームには、ビタミンCやクエン酸を豊富に含む三ヶ日みかんドリンクが置かれ、乾いた喉を潤してくれます。

 

20131207kaienshu8.JPGお茶玉が浮かぶ内湯(左)(湖都の湯)

 



泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物強塩温泉。塩分の強い湯で、体の芯からしっかりと温めてくれます。

 


華の湯 男性15:001:00、女性5:0011:30


湖都の湯 女性15:001:00、男性5:0011:30


 


 


季節の会席料理で


遠州灘産天然トラフグを贅沢に味わう


 


朝・夕とも食事は4階にある食事処「京丸牡丹」へ。浜名湖に面した眺めのよい席や大切な人と気兼ねなく食事を楽しめる半個室などがあります。


 


私たちがいただいたのは「ふぐうな会席」という遠州灘産天然トラフグと浜名湖産ウナギの両方を贅沢に味わえる秋冬のコースです。遠州灘は天然トラフグの国内有数の産地。海流の変化に伴って近年漁獲量が増えているのだとか。フグで有名な下関へも遠州灘産トラフグが送られているそうです。


 

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「ふぐの薄造り」で始まる秋冬限定の「ふぐうな会席」

 

食事は、三ヶ日みかんを使ったさっぱりとした「食前酢」からスタート。最初に出されるのは「ふぐの薄造り」です。透明感のある身で皿の模様が透けてみえますが、それでいてもっちりと食べ応えがあり、噛むほどに旨みが口の中に広がります。添えられたフグ皮もコリコリと弾力があって食感が楽しめるうえ、良質のコラーゲンが含まれているのも女性にはうれしいですよね。青ネギや紅葉おろしを巻いてポン酢で味わいますが、それとは別にオリーブオイルと海洋深層水の塩が用意され、新しい食べ方も提案されています。


薄造りのほか、天然トラフグは「土瓶蒸し」や「ふぐちり鍋」「ふぐ雑炊」で味わうことができ、旨みや食感を充分に満喫しました。

 

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 「ふぐ鍋(左)」には、うぐいすと呼ばれる喉仏や頬、えらの部分がたっぷりと入る


 

焼きものでは「鰻の共だれ焼き」が香ばしい匂いと共に登場。蒸してから焼くという関東風の焼き方なので、ウナギの身はふっくらとやわらか。「界
遠州」オリジナルの甘さを控えた共ダレが、脂ののったウナギを引き立てます。

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 短時間蒸した後、炭火による地焼きで仕上げてある


 

食事の〆に出されたのは甘味の「緑茶あんみつ」。こちらも「界 遠州」のオリジナルです。緑茶の寒天、餡、パパイヤ、イチゴ、金時豆の上にバニラアイスが添えられます。

 


20131207kaienshu12.JPG界 遠州のオリジナル甘味「緑茶あんみつ」

 


私たちがいただいた「ふぐうな会席」のほか、ひれ酒や白子焼きなども味わえる「天然とらふぐづくし会席」もあります。どちらも10月〜3月のフグ漁解禁の時期だけしか味わえない季節のコースとなっています。春は東海地方を代表するブランド牛・松阪牛の会席が予定されています。こちらも楽しみですね。


 


 


星野リゾート 遠州


静岡県浜松市西区舘山寺町


050-3786-0099(界予約センター)


http://kai-enshu.jp/


12食付き1名様22,000円〜(税・サ込)


ふぐうな会席コースは12食付き1名様25,000円〜(税・サ込)


チェックイン15


チェックアウト12

 

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お茶の一大産地である静岡県。お茶の生産量は全国の約40%を占めており、静岡県の中でも、川根・天竜川・牧之原など、産地も各地に点在しています。そして「星野リゾート 界 遠州」では、宿泊客にお茶により親しんでもらえるような、静岡県ならではのご当地楽「美茶楽(びちゃらく)」が用意されています。

●お茶三煎

ライブラリーラウンジで参加無料で楽しめるティータイムです。スタッフの方に教えていただきながら、1種類の茶葉をお湯の温度や蒸らし時間を変えながら淹れて、三煎いただきます。

お湯は、器に入れ替えるごとに湯温が約10度下がるそうです。まずは90度の熱湯を急須に入れて急須をあたためつつ湯温を80度に下げ、次にこのお湯を湯冷ましに入れて70度にし、最後にこのお湯を急須に入れ直して一煎目を淹れます。一煎目はお茶本来の"甘み"や"うま味"を感じられます。二煎目は80度のお湯で淹れてお茶の"苦み"を、茶葉が開ききった三煎目は90度のままで淹れ"渋み"を味わいます。三段階でいただくことにより、お茶の魅力である、甘・渋・苦(かん・じゅう・く)のそれぞれの味を感じることができます。

同じ茶葉から淹れたとは思えないほど、三煎それぞれに風味が違うことに驚いてしまいます。皆さんは三段階のどの味が好みとなるでしょうか。私は渋いお茶が好きなので、三煎目がお気に入りでした。

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最後にお茶のお浸しをいただけます

最後に、お茶を淹れた茶葉をそのままいただきます。少し醤油をたらしていただくと、お茶と醤油の香りが豊かなお浸しのような一品となります。茶カテキンには殺菌力があるので、茶葉をまるごといただけるのは健康にも良さそうですよね。

毎日16301730開催/体験時間約15分/宿泊者参加無料/予約不要

●ブレンド茶体験

さらにお茶の新たな魅力を発見したい時は、トラベルライブラリーでのブレンド茶体験はいかがでしょうか。お茶にも、「合組(ごうぐみ)」と呼ばれるブレンドがあります。ブレンド茶体験では5種類の茶葉をそれぞれテイスティングし、5種類から好みの茶葉を23種類選んでブレンドし、オリジナル茶葉を作ることができます。

私たちが体験したこの日の茶葉は、静岡市や牧之原市が産地の「かなやみどり」「やまかい」「こうしゅん」「やぶきた」「深蒸しやぶきた」の5種類でした。まずは、茶葉の香りをかいでみます。次に、茶葉を入れた専用皿へ茶葉が浮かないように水を数滴注いでもらいます。水は雑味が出ないのでお茶本来の味がわかるそうです。そして、水で淹れた5種類のお茶をそれぞれ猪口でテイスティング。甘みのあるもの、香りが深いもの、渋みが強いものなど、それぞれ個性豊かなお茶をテイスティングしながら好みの茶葉を探していきます。一気に飲むのではなく、混乱しないように少量ずつ交互にテイスティングをしながら探すのがおすすめですよ。選んだ好みの茶葉を好みの比率でスタッフにブレンドしていただいたら、オリジナル茶のできあがりです。

20131209blend.jpgテイスティングしながらオリジナルブレンド茶を作ります

私は、独特の香りがある「やまかい」を主に、華やかな香りを持つ「かなやみどり」と、煎茶の"王道"ともいえるような「やぶきた」の3種類をブレンドしてオリジナル煎茶を作ってみました。さまざまな香りが混ざり合った薫り高い茶葉となりました。

体験の最後には、ブレンドしたばかりのオリジナル茶を、明治4年に浜松で創業した「菓子舗 巌邑堂(がんゆうどう)」の和菓子とともに頂けます。また、オリジナルブレンド茶葉は、かわいらしい茶筒と一緒にプレゼントとして持ち帰れます。お茶の知識を得、実践し、美しい湖を眺めながら美味しい和菓子を堪能でき、そしてお土産付き。こんな楽しい体験をしてみてはいかがでしょうか。

宿泊日翌日の10時〜から体験可/体験時間約1時間〜1時間半/参加費12千円(ブレンド茶体験付きのWeb限定宿泊プランあり)/前日までに要予約


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★オススメ半日観光

宿泊日翌日午前中3時間の観光コース「遠州道中膝栗毛」

「星野リゾート 界 遠州」で連泊される方にぜひおすすめしたいのが、「遠州道中膝栗毛」です。宿泊2日目の午前中は「ブレンド茶体験」をし、3日目午前中にこちらの観光コースで周辺観光はいかがでしょうか?

舘山寺温泉観光協会が行っているツアーで、かんざんじ温泉のホテルスタッフや市民ガイドがバスで案内してくれるかんざんじ温泉宿泊者限定のものです。2012年には、「しずおか観光大賞」を受賞したそうです。一番のポイントは、季節によってコースが違いその時期に一番いい場所へ案内してくれるとことです。だいたい半月ごとにコース内容が変わるので、かんざんじ温泉を何度訪れても違うコースへ行けるのがうれしいですね。さらに、最少催行人数は2名で参加費は1人千円ととてもリーズナブル。

私たちが参加した11月下旬のコースは、「家康と一番鶏の『満光寺庭園』&ガーベラ摘み取り体験」でした。満光寺の小堀遠州流庭園はちょうど紅葉が見頃でお寺の案内人の方のお話をうかがいつつも、黄色や赤の葉っぱがはらはらと落ちる様がとても美しく、ついついそちらへ意識が向かってしまったほどです。

そして、日本一の生産量を誇る、浜松のガーベラ摘みにもチャレンジ。ガーベラの摘み方や、花びらに傷がつかないようにするためのキャップ掛け、そして花屋のように自分で摘んだ色とりどりの5本を花束にする方法を教えていただきながらの楽しい体験でした。花束はもちろん持ち帰りOKです。

20131209hizakurige.jpg一番鶏の鳴き声に家康が助けられたという逸話が残る満光寺
色とりどりのガーベラ。どの色を摘もうか迷うほどです


12月の「遠州道中膝栗毛」コースには、舞茸のもぎ取り体験や新酒の利き酒体験、浜名湖競艇場のVIPルームでの競艇観戦教室などもあるようですよ。ぜひHPをチェックして参加してみて下さいね。

参加費用:大人・子ども11000円/9時頃各ホテル・観光協会出発→12時頃戻り/予約は前日までにホテルフロントへ

舘山寺温泉観光協会 http://www.kanzanji.gr.jp/

オススメ1時間観光

見事な夕焼けが浜名湖を染める「かんざんじロープウェイ」

「星野リゾート 界
遠州」から歩いて5分ほどの場所にある「かんざんじロープウェイ」。舘山寺と
大草山展望台を約4分で結ぶ日本唯一の湖上を渡るロープウェイです。山頂には360度の景色が広がり、東名高速浜名湖SA、奥浜名湖のほか、天気のいい日には遠く富士山が見られることも。
日中ももちろん素晴らしい景色が見られるのですが、宿での夕食前の腹ごしらえに夕方に訪れることをオススメします。条件が合えば、燃えるような夕焼けに出会えます。冬期は体が凍結するのではないかと思うほど寒いので防寒対策はしっかりと。

20131209ropeway.JPG取材日は見事な夕焼けに出会えました!



★オススメランチ

浜名湖の「牡蠣カバ丼」に舌鼓

「星野リゾート 界 遠州」チェックイン前、浜名湖のご当地グルメをどうぞ。冬の浜名湖を代表する地元特産のカキに、浜名湖名物のウナギの蒲焼きのタレで味つけした、近年人気急上昇の浜名湖ならではの丼です。15軒以上の飲食店で提供しており、それぞれの店でタレの味が異なるので、連泊すれば食べ比べもできそうです。11月上旬から3月中旬までの限定販売なので、お早めに!

20131209kakikaba.JPG大きなカキがたっぷりと乗った「牡蠣カバ丼」

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