かつて北海道一の港湾都市として繁栄した小樽にある、歴史的な近代建築を活用した「小樽芸術村」。5つの建物を利用した、4つのアート施設があります。前編に続き、後編ではそれぞれの美術館をご紹介します。
似鳥美術館
建物は大正12年築の旧北海道拓殖銀行小樽支店を活用しており、全5フロアからなります。入館してすぐの1階に広がるのは、ティファニー社の創業者を父とする芸術家であるルイス・C・ティファニーのステンドグラスギャラリー。19世紀末から20世紀初頭に活躍したルイス・C・ティファニーが手がけた教会ステンドグラス作品を中心に展示されています。その荘厳な世界に包まれ、あたかも教会にいるかのように錯覚してしまいます。
ルイス・C・ティファニーのステンドグラスギャラリー
似鳥美術館の2~4階は、近代・現代の日本画や洋画、彫刻のフロア。岸田劉生、横山大観、上村松園、片岡球子、東山魁夷、ルノワール、シャガールなど巨匠たちの数々の作品が展示されており、圧巻です!
横山大観《晨輝(しんき)》(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)
旧三井銀行小樽支店
昭和2年竣工の旧三井銀行小樽支店は、小樽芸術村の他の施設とは異なり、国指定重要文化財である銀行建築そのものを見学できる施設として公開されています。
改修工事では、
写真や史料を参照してできる限り完成時の姿に近づけることを目指した
(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)
石膏づくりの天井の高い吹き抜けの建物、大理石のカウンター、飴色に輝く手すり、回廊が巡る内装、趣のある支店長室や金庫など重厚でクラシカルな意匠に、栄華を極めた往時の銀行としての姿が垣間見えます。
会議室や金庫、優美な照明などの意匠が光る
ステンドグラス美術館
大正12年築の木骨石造2階建ての旧高橋倉庫と、隣接する昭和10年築の木造2階建ての旧荒田商会を利用しています。館内は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてイギリスで制作され、実際に教会の窓を飾っていたステンドグラスが荘厳な光を放ちます。さまざまな理由からイギリスでは近年多くの教会が取り壊されてしまったそうですが、ここに飾られている約100点のステンドグラスは幸いにも残り、今ここで大切に保存・展示されています。
ステンドグラスの荘厳な光に包まれる(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)
西洋美術館
かつて三井物産や三菱商事とともに並び称された鈴木商店が開設した、大正14年築の倉庫である旧浪華倉庫(なにわそうこ)を利用しています。
ジャック・グリュベール《睡蓮とアイリス》
(画像提供:小樽芸術村 ※画像の転載・コピー禁止)
展示されているのは、19世紀後半から20世紀初頭に欧米で制作されたステンドグラスのほか、アールヌーヴォー・アールデコのガラス工芸品、家具など。館内は撮影可能なので(動画やフラッシュなどはNG)、美しい作品とともに優美な空間を楽しめます。
アールヌーヴォー・アールデコのランプを鑑賞できる
100年の歴史を紡ぐ重厚な建築を彩る荘厳なステンドグラスやさまざまな絵画作品や彫刻。小樽のかつての栄華に想いを馳せながらアート巡りをぜひ楽しんでくださいね。
小樽芸術村 https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/
<参考>
都市ホテル「OMO5小樽 by 星野リゾート」の滞在記はコチラ
小樽運河など歴史的価値の高い小樽の紹介記事はコチラ