「ダニエルが日本に引っ越すんだって…!」香港のフーディーから第一報が入ったのは、昨夏のことでした。“ダニエル”ことダニエル・カルバートさんは、フォーシーズンズホテル丸の内 東京の総料理長に就任。6月1日にオールデイビストロ「MAISON MARUNOUCHI(メゾン マルノウチ)」を、7月1日にはついにフレンチダイニング「SÉZANNE」をオープンしたのです。
香港時代に習得した広東料理の技術をアレンジした軍鶏のひと皿
ロンドンの二ツ星Pied a Terre、ニューヨークの三ツ星Per Se、パリの三ツ星Epicure at Le Bristolと華やかなキャリアを積んできたダニエルが、アジアでも一躍知名度を上げたのは、香港での活躍でした。わずか5年間の滞在で、ヘッドシェフを務めていたカジュアルなビストロ「Belon(ベロン)」を、ミシュラン一ツ星、「アジアのベストレストラン50」第4位というアジアを代表するレストランへと押し上げたのです。
タイバジルを挟んだサバのマリネ。つまりしめ鯖がひと肌の温度でサーブされます
「世界最高品質と言われる日本の食材で、自分の持てる力をすべて使って極上の料理をつくりたい」とダニエルさん。最新の設備と高い技術力を持つ大人数のチームを揃え、ビストロではできなかったという「細部まで考え抜き、時間も手数も惜しまずかけて構築した料理」を提供しています。
シャンパン好きなダニエルさんが、シャンパンに合うアミューズとして考案
たとえばラディッシュとバター。ゆで卵とマヨネーズくらい定番の、パリの街場のビストロで出す気取らない組み合わせですが、ダニエルさんはハーブを練り込んだボルディエのバターを使い、均一の厚みでラディッシュをコーティングして、クラッシュアイスの上に乗せています。いまの時期に嬉しいこの冷たいひと口の直後に、今度は熱々の焼き立てのさっくりしたグジェール。温度と味わいのコントラストで一気にゲストの心を掴むというわけ。
ダニエル・カルバートさん(左)とシモーネ・マクリさん
そんなダニエルさんの料理の魅力をゲストに的確に伝えるのが、日本での経験が長く、日本語も堪能なイタリア人マネージャー、シモーネさん。「ダニエルの目指す繊細で芸術的な料理のコンセプトを、ダイニングで魅力的に伝えていきたい」と言います。
切っただけに見えるマンゴーの果肉の下には嬉しいサプライズが
「香港はダニエル・ロスだから返してよ(笑)」と香港のフーディーズ。まだオープンしたばかりだと言うのに、今年末に発表されるミシュランの星はつくか、来年春に発表される「アジアのベストレストラン50」に日本のホテルダイニングから初めてランクインするか。すでに噂でもちきりです。
アジアから日本への食べ歩き旅行の予約も、今年10月下旬ごろから始まっているみたい。東京から出かけられない不自由さを逆に生かして(?)東京にいるなら、いまのうちにチェックしちゃいましょう。香港のみなさん、お先に!
(データ)
SÉZANNE(セザン)
https://www.fourseasons.com/jp/tokyo/ (東京都・フォーシーズンズホテル丸の内 東京)
予約方法は「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」公式サイトで案内されています
*料理はすべて取材時のもの。季節などにより変更されます