え〜っ、和牛にのせた透明なポテチ? 手の上の球体がクラムチャウダー? キャビアがこぼれ出すドーナッツ? 懐石料理みたいなこれがなんとホットドッグ?
キャビアをたっぷり挟んだガストロノミードーナッツ
いま、東京のホテルダイニングが活気を取り戻しつつあります。というわけで今月は、とりわけおすすめの2軒をピックアップ。最初に紹介するのは、マンダリン オリエンタル 東京の「Tapas Molecular Bar(タパス モラキュラー バー)」。2020年、新しい料理長に牛窪健人さんが就任しました。
アートギャラリーをイメージして料理をデザインする牛窪健人さん
牛窪さんは小さい頃からカナダ育ち。つくることも食べることも大好きな食いしんぼだったという少年時代からの料理への探究心は深く、学生時代にアートを専攻後、料理人となり、料理とアートを融合したユニークな世界観を創り上げました。
クラムチャウダーを手のひらからサーブされるなんて人生初体験!
世界のファインダイニングのトレンドが、ほっとする食べ慣れた味のコンフォートフードへと動く中、牛窪さんが表現しているのは、その一歩先を行く料理。冒頭に並べたように、ポテチやチャウダー、ドーナッツなど、牛窪さんが育った北アメリカ発のコンフォートフードで、いまや日本でもおなじみのカジュアルスナックや、10代から研究しているというインドのスパイス料理、さらには日本で出合った和食などを、モラキュラーの技術で、エキサイティングなアートに変身させているのです。
メニュー名も詩的。透明ポテチをのせたこれは「モントリオールを旅した和牛」
わずか8席のカウンターだからできる、火あり煙ありスモークあり(とりわけ液体窒素を使った驚くようなパフォーマンスをお見逃しなく!)のダイナミックなエンターテインメント。そこから完成するのは、繊細で味わい深い料理。このギャップがたまりません。
「金魚の脱走」。リアルな金魚はストロベリージュレ
なかなか思うように行動できないいま。ゆるんだ五感に刺激を受けて、確実にアッパーになれる、とっておきのカウンター席です。日々のあれこれからエスケープできる非日常的な約2時間のトリップを、あなたも体験してみませんか。
(データ)
Tapas Molecular Bar(タパス モラキュラーバー)
https://www.mandarinoriental.co.jp/tokyo (マンダリン オリエンタル 東京)
予約方法は「マンダリン オリエンタル 東京」公式サイトで案内されています
*料理はすべて取材時のもの。季節などにより変更されます