マイスターと世界遺産の知の旅へ by 山本厚子

美山 かやぶきの里(京都府)

 美山かやぶきの里1

日本の原風景を今に残す美山「かやぶきの里」を訪ねました。

京都府南丹市に位置するかやぶきの里は、京都市内から車で行っても1時間半はかかる里山にあります。芦生(あしう)原生林に源を発する由良(ゆら)川沿いの谷間に、豊かな北山杉を抱えた山を背にしてかやぶき屋根の住居など約50戸がひとかたまりとなって集落を形成しています。以前は美山町でしたが、平成18年に園部町・八木町・日吉町と合併して南丹市が誕生しました。

私が訪れた季節には、周囲の田では黄金色の稲穂が頭を垂れ、畦道や庭では秋桜や曼珠沙華が咲き、かやぶき屋根の建物と相まって、なおいっそう郷愁を感じさせる風景が広がっていました。
 

美山かやぶきの里2

 

かやぶき屋根の建物は、江戸時代中期から後期に建てられたものが多く、北山型民家というものに分類されています。その特徴は、入母屋造りで、木を使った板壁や板戸、土間は狭く外より一段高くなった上げ庭となっているなどが挙げられます。現在、住居や民俗資料館、店舗も含め、38棟がかやぶき屋根の建物。その伝統的技法による建造物や歴史的景観としての保存状態が高く評価され、平成5年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

美山かやぶきの里3

この地の人々の暮らしを知るなら、「美山民俗資料館」がおすすめです。約200年前の中層農家住宅を再現した、母屋、納屋、土蔵からなる建物です。平成12年の火災で母屋と納屋を焼失しましたが、その後、当初の姿のままに再建・復元されました。母屋には囲炉裏や座敷、かまど、土間、厩などあり、2階の屋根裏では、屋根の組み方や構造、かやのふき方などが実際に見てとれます。生活用具や衣装、古文書などを展示する土蔵と農作業や山仕事の道具を展示する納屋もあわせて見学できます。

美山民俗資料館
南丹市美山町北
tel 0771-77-0587

また、里山暮らしのさらなる魅力を知るには、かやぶき屋根の建物で営まれる民宿に泊まるというのはいかがでしょうか。囲炉裏を囲んで、山川の恵みいっぱいの田舎料理を味わったり、都会では感じることのできない自然のなかで深呼吸してみたり、癒しのひとときが得られるはずです。

美山かやぶきの里4

山と川に囲まれた里山の魅力いっぱいのかやぶきの里。日本人にとっての心のふるさとのような風景を眺めに出かけてみませんか。

風景だけでは満足できない方は、近くにある美山町自然文化村へどうぞ。芦生の森ハイキングやリンゴ狩り、さまざまな田舎体験などを楽しむことができます。

美山町自然文化村
南丹市美山町中下向56                          

tel0771-77-0014

●かやぶきの里へのアクセス:

JR京都駅からJRバス周山行きで終点下車、南丹市営バス(京北線)に乗り換えバス停宮脇下車、さらに南丹市営バス(知井線)に乗り換え、バス停北下車。車の場合は京都縦貫自動車道園部ICから府道19号、国道162号、府道38号経由で約33km

※2009年9月19日〜11月29日の土・日曜、祝日のみ、阪急桂駅〜かやぶきの里(美山町自然文化村)への快速バス「美山ネイチャー号」の運行があります。(予約制)

(取材・執筆 山本 厚子)

 

 

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