十和田八幡平国立公園内に佇む一軒宿・後生掛温泉。
灰色ににごる温泉を浴び、ほっこり温まってからの夕食の時、きりたんぽをはじめ、秋田を感じさせる料理がずらりお膳に並びます。なかでもうれしかったのが、ほんのり杉の香が漂う曲げわっぱのお弁当箱に盛られた炊き込みご飯。手なじみの良い弓形の形も可愛らしく、ひと目で気に入りました。どこのわっぱか女将の阿部さんに尋ねると、大館工芸社のものだそう。大館にはわっぱビルヂングというおしゃれなお店もありますよ、と教えていただきました。でも、ここからだと1時間半ぐらいかかるかも、と顔を曇らせる女将さん。いえいえ、そんな遠くないでしょ、ということで、後生掛温泉を後にし、大館に足を延ばすことにしました。
後生掛温泉の夕食で供された大館の曲げわっぱは大館工芸社のもの。
大館市内に工房がありますが、訪れた日はお休みでした
大館駅近くに立つわっぱビルヂングは、古いビルをシンプルかつ機能的にリノベーションした空間。大館曲げわっぱのショップ&ギャラリーのほか、カフェやコワーキングスペースなどが同居しています。
わっぱビルヂングは、大館駅から徒歩3分ほど
おにぎり形の曲げわっぱ
10年使用したお弁当箱。まだまだ使える!
訪れた時はちょうど曲げわっぱ制作体験のワークショップを行なっている最中で、職人さんの手ほどきでお弁当箱をつくっていました。この施設は、大館曲げわっぱの伝統工芸士・柴田慶信さんが、自身が収集した世界の曲げ物を展示する博物館をつくりたいという思いから、2018年にオープンさせました。白と白木を基調とした店内に、自社製の曲げわっぱや、世界の曲げ物が並んでいます。お弁当箱は、1段や2段重ねのほか、おにぎり専用など大きさ、形ともに種類豊富。10年使用したというお弁当箱も展示されていましたが、ほんのり飴色を帯びている以外新品と遜色ありません。使うほどに増す味わいを目の当たりにし、天然の素材を使用した工芸品の魅力をしみじみ感じました。
ITOKUおおだての大館曲げわっぱコーナー。大館駅から徒歩16分ほど
大館市内にあるITOKUおおだて内にも、大館曲げわっぱのコーナーがあります。後生掛温泉でも使用している大館工芸社ほか、各工房の作品が一堂に会しているので、いろいろ見たい方におすすめです。
コロナ禍でなかなか現地へ足を運べませんが、オンラインストアを眺めるのも楽しいひと時。まもなく、4月。新年度を曲げわっぱのお弁当箱で迎えてみては。