あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

第5回 春を感じる房総で八角形の白亜の灯台に出会う(千葉県・南房総市)

房総半島の最南端に立つ野島埼灯台。国の登録有形文化財にも登録され、登ってみることができる八角形の白亜の灯台です。

岩礁の向こうにすくと立つ野島埼灯台

この灯台は、慶応2年(1866)にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国と結んだ 「江戸条約」によって、外国交易のため船舶の出入りの安全を目的に建設を約束された8基の灯台のひとつです。明治2年(1870)、東京湾を挟んだ対岸の三浦半島・観音埼灯台に続いて、日本の洋式灯台として2番目に点灯。フランス人技師のヴェルニーの設計で、レンガ造りで建設されました。

日本の灯台建設に名を遺すヴェルニー。明治政府により、近代化を進めるために雇われたお雇い外国人です。ヴェルニーは1837年にフランス南部に生まれ、海軍技術者になり、1864年から12年間、横須賀製鉄所(造船所)をはじめ、日本で造船所の運営や灯台の建築に携わります。日本の近代化に大いに貢献したひとりです。ヴェルニー設計の灯台は野島埼のほか観音埼・品川・城ヶ島の初期の4基だけで、以降はイギリス人のブラントンに引き継がれ、ブラントンは日本の灯台の父と尊称されました。

現在の野島埼灯台は関東大震災後に再建されたもので、八角形の美しい形が継承されています。このフォルムこそがフランス人設計らしい優美さを表しているように感じます。周囲は太平洋がめぐり、高さ29mの灯台の足元は岩礁地帯、展望台からの眺望は紺碧一色。航海の安全を守り続ける灯台の凛とした姿は、ロマンあふれるものです。灯台の歴史や業務資料を紹介する展示室「きらりん館」も併設していますので、ぜひ。

フランス人技師、ヴェルニーが手掛けた優美な姿

温暖な房総半島は真っ先に春の訪れを感じる地。鮮やかな菜の花が広がるさまは、心を弾ませてくれます。300万本の菜の花畑がある富津市のマザー牧場や、館山市の房総フラワーラインなど、名所が点在し、風物詩となっています。写真は鴨川市の菜な畑ロード。

鴨川市の菜な畑ロード

1月から3月上旬まで、1万坪の敷地が黄色のじゅうたんとなります。花摘みもでき、ポッと灯る灯台の明かりのような菜の花を持ち帰ってみてはいかがでしょう。

野島埼灯台 https://www.mboso-etoko.jp/cgi-bin/co_kanihp/info.asp?uid=504

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