今回は、以前盛岡を旅した時に見つけた"ゆるキャラ"です。
それは盛岡天満宮の狛犬です。上の写真をじっくり見てください。普段、神社で見る狛犬とはまったく違う顔をしているでしょう。何だか素朴で、ほのぼのと和みませんか?
とは言っても、この狛犬、ただのゆるキャラじゃありません。盛岡出身の歌人・石川啄木ゆかりの狛犬として知られているのです。盛岡天満宮のある天神山は、啄木が散策や読書をするのに気に入ってよく訪れた場所だとか。
啄木の詠んだ歌に
「夏木立中の社の石馬も汗する日なり君をゆめみむ」
「松の風夜昼ひびきぬ人訪はぬ山の祠の石馬の耳に」
の2首があり、歌の中の"石馬"が狛犬のことを指しています。
狛犬は高畑源次郎という人が、病気平癒の祈願が叶ったお礼に、自ら彫って奉納したと伝えられています。啄木が訪れていた時には地面に直接置かれていたそうですが、昭和8年に上記の啄木の歌を刻んだ台座の上に置かれるようになりました。
盛岡を訪れた際には、いくら見ていても飽きないユーモラスな表情の狛犬にぜひ会いに行ってみてくださいね。
盛岡天満宮
盛岡市新庄町5-43
●盛岡天満宮へのアクセス:
盛岡駅前から岩手県交通バス「天満宮前」下車、徒歩5分
(取材・執筆 山本 厚子)