秋の山歩きの楽しみで、大きなウエイトを占めるのが「紅葉」。標高の高い山から低い山へと紅葉は下りていき、10月半ばから11月にかけては、標高1000m以下の低山の紅葉が美しい時期です。低山の広葉樹林にはカエデやツツジ、ブナ、コナラ、さまざまな種類の木があり、秋になると赤や黄色、さまざまな色で彩られます。
カエデは赤、コナラやブナは黄色く染まる
電車や車の車窓から見る紅葉も美しいですが、自分の足で歩いて見に行く山の紅葉は、格別に美しく、心に残ると思います。
紅葉の名所は全国各地にあり、有名どころは休日ともなれば多くの人で賑わいます。少しでも人ごみを避け、静かに紅葉が楽しめる山…としてお伝えしたいのが、埼玉県にある城峰山です。平将門が戦に敗れて官軍に追われ、この地に砦を築いて立てこもったのが名前の由来と言われています。
山頂直下に建つ、平将門伝説ゆかりの城峰神社
山頂一帯はカエデやサクラが多く見られ、10月下旬から11月上旬にかけて、葉が真っ赤に色づきます。青空の下、紅葉した葉が日の光を浴びてきらきらと輝くのが美しく、思わず足を止めて魅入ってしまいます。
城峰山、山頂直下のカエデの紅葉
眺望のすばらしさもこの山の見どころです。城峰神社の前の広場からは西〜南方面の眺望がよく、両神山など奥秩父の山々の連なりが見渡せます。
城峰神社の前からの眺め。中央のギザギザした台形の山が両神山
山頂自体は木々に囲まれて見晴らしがよくないのですが、山頂に建つ電波塔の展望台に登ると、まさに360度の大展望。見える山々が写真付きのパネルで表示されています。西側には奥秩父や八ケ岳の山々、北側は赤城山や谷川連峰が見えています。標高1000m程度の山なのに、こんなにあれこれ見えてしまっていいんだろうか思うほどの絶景です。
展望台から北方向の眺め。この日は浅間山も榛名山も見渡せた
この山は山頂直下のキャンプ場に駐車場があり、マイカー利用なら駐車場から片道10分程度で山頂に立ててしまいます。山歩きとして楽しむなら、山の南側、西武秩父駅からバスに乗り、万年橋バス停から石間川沿いの舗装道路を進み、登山口から山頂を目指します。舗装道路歩きがやや長くはありますが、道沿いの民家の庭先に秋の花が咲いていたり、柿が実を付けていたり。里山の集落の風景も、山の魅力のひとつなのです。
民家の庭には秋の花、柿もたわわに実っている
【城峰山データ】
アクセス：西武池袋線西武秩父駅からバス50分、万年橋下車
コース：万年橋バス停…男衾登山口…城峰神社…城峰山…石間峠…西角平バス停 所要時間約5時間
体力度★★☆ 技術度★☆☆
