フルーツ王国・台湾。なかでも夏は、最もバラエティに富んだフルーツを味わえる季節です。そこで南部の町・台南から東部にある宜蘭まで台湾をグルっと半周し、フルーツ三昧の旅を堪能してきました。イベントや味覚狩り、体験型企画などその楽しみ方はさまざま。後編では、トロピカルフルーツの味覚狩りができるレジャーファームを中心に紹介します。
亜熱帯から熱帯地域に属している台湾は、トロピカルフルーツの宝庫。前編で紹介したマンゴーを筆頭に彩り豊かな品々を味わうことができ、特にもぎたてを食べるフルーツ狩りはご当地ならでは醍醐味です。そこでいち押しなのが、レジャーファーム。収穫体験のほか、フルーツを使った料理を堪能したり、加工品作りに挑戦できたりして、フルーツの魅力をいく通りにも楽しむことができます。宿泊施設付きのところも多いので、夏休みの旅行先にも最適ですよ!
美人の源、大粒ライチが食べ放題!
「仙湖(シエンフー)レジャーファーム」
「仙湖レジャーファーム」は、台湾南部の町・台南(タイナン)の東山(ドンシャン)地区にあるレジャーファーム。52haもの敷地をもち、見渡す限り広がる園内は、農業、野菜体験、生態、レジャー、小動物といった5つのエリアに分かれています。農業実習や生態学習など自然と触れあえる各種体験プログラムも設けており、その目玉となるのが味覚狩りです。
コテージ式の宿泊施設を完備。1室2名用3500元〜
(朝・夕食、アフタヌーンティー、季節の果物狩り、DIY体験などを含む)
なかでも、初夏に楽しめるライチ狩りは特に人気が高いプログラム。ライチは赤い鱗状の果皮に包まれた球状のフルーツで、半透明をした果肉はナタ・デ・ココのようなクニュッとした独特の歯触りや豊かな甘みが特徴です。アンチエイジング効果があるとされるビタミンCや美肌成分もたっぷり。世界4大美女のひとり楊貴妃の大好物だったことでも知られ、その美の秘密はライチにあったという説もあるそうですよ。
このファームで栽培しているのは、「黒葉(ヘイイエ)」という品種。ゴルフボールほどもある大粒の実をつけるライチなのですが、これが時間無制限で食べ放題というから嬉しい限りです。しかも摘みたてのライチは、日本で多く出回っている冷凍物とは比較にならないほど甘くてジューシー! 香りも高く、楊貴妃ならずとも虜になってしまいます。
収穫後のライチは劣化しやすく、店頭に並ぶ頃には
果皮が黒ずんでしまう。真っ赤な実は新鮮な証拠
ところで、ライチの収穫方法はなかなか豪快。竹竿を使うのですが、先端に入った切り込みに目当ての枝を滑り込ませたら、バキッと枝ごと捻じり折るのです。鈴なりにになった実を一度に手にできるので、満足感がアップ! 思わず、「採ったどー!」と声を上げずにはいられません。
ライチは日光を浴びるほど甘みが増すため、
おいしい実を採るには木の上部を狙うのがコツ
たわわになった実を掲げて、満面の笑み。旬は6〜7月
<地元名産の龍眼やコーヒー豆摘みも>
ここではライチ以外にも、東山の名産品であるコーヒー豆(10〜11月)や龍眼(ロンイエン、7〜9月)など四季折々のフルーツを収穫できます。さらに、コーヒー豆の挽き方やドリップ方法をレクチャーする講座など気軽に参加できるDIY(手作り)企画も。日帰り利用も可能ですが、せっかくなら宿泊して朝から晩まで地元の味覚をじっくり堪能するのがおすすめです。
龍眼を燻して作る「桂圓(グイユエン)」は東山の伝統菓子。園内では、
収穫した龍眼を使った桂圓作りができる。夜はコーヒー教室も開催
夕食は園内産の山菜やキノコ、イノシシなどの家畜を使った地産地消メニュー。
龍眼の天ぷらも並び、初夏のデザートはもちろんライチ
●12種類のフルーツを栽培
「シャングリラレジャーファーム」
2014年に完成した新館(写真)の客室は、ヒノキをふんだんに使用した造り。1室2名用4500元〜。
ランタンに願いごとを書いて空へ飛ばす宿泊者向けの企画も
この園の夏の味覚。スターフルーツはほんのり甘酸っぱく、ナシのような歯触り。グアバもおすすめ
<周辺には観光農園が充実>
ドラゴンフルーツの葉状茎は放っておくと10m近くまで伸びるそう。茎には棘が多いので収穫時は要注意。
發8家有機農場での収穫は2個まで、料金は重さによるが200〜300元程度
ゴマのように小さな種が無数にあり、キウイのよう。上品な味わいながら、甘みはリッチ。旬は5〜11月頃
味はリンゴに似ているレンブー。艶やかな見た目やその形状からワックスアップルや
ベルフルーツの英名がある。蜜蜜雞地での収穫料金は600g80元、宜蘭では5〜8月頃が美味
二湖鳳梨館では土着品種の土パイナップルを栽培。小ぶりながら甘みが濃厚で、最盛期は6〜8月頃。
アイスやリキュール、調味料など天然果汁たっぷりの加工品も販売
●自分で作るブルーベリー酢をおみやげに
「雪霸(シュエバー)レジャーファーム」
台湾北東部・新竹(シンヂュー)にある。山懐に抱かれ、夜には満点の星空が広がるほか、冬の早朝には眼下に雲海を望める日も。1室2名用4320元〜
台湾で唯一のブルーベリー農園を併設。11品種を自然交配させており、
収穫のピークは7〜8月頃。11月頃にはキウイ狩りも可能
夜には、園内で採れたブルーベリーを使ってフルーツ酢を作るDIY教室を開催
今回はフルーツ狩りを中心に紹介しましたが、実はレジャーファームにはレジャー施設から食事、アクティビティ、宿泊施設まで幅広い設備が整っています。国から開園の認定を得るには周辺環境も厳しくチェックされるため、自然も豊か。その魅力に惹かれ、近年では台湾国内のみならず、シンガポールやマレーシアといった東南アジアの国々からも人気が急騰しています。アクティビティに参加して活動的に過ごすもよし、野鳥の鳴き声に耳を傾けて癒されるもよし、フレキシブルな過ごし方ができるのでリフレッシュするには格好のスポットですよ!
●Informaition
仙湖レジャーファーム(仙湖休閒農場)
http://www.senwho.com
宜蘭縣三星鄕人和村堤防路38-3號
0928-543646
二湖鳳梨館
http://www.lanyangnet.com.tw/ilpoint/ys14
シャングリラレジャーファーム(香格里拉休閒農場)
http://www.shangrilas.com.tw/shangrila
雪覇レジャーファーム(雪覇休閒農場)
http://www.sheipa.com.tw
(取材・文/田喜知 久美、取材協力/台灣レジャー農業発展協会)