前回、ベトナムの自然遺産「ハロン湾」をご紹介しましたが、今回は文化遺産として登録されているベトナム中部の「古都ホイアン」へとご案内したいと思います。
ホイアンは、中部最大の商業都市ダナンから南へ約30km。かつてベトナム中部で栄えたチャンパ王国において中国やインド、アラブを結ぶ中継貿易の拠点としての役割を果たしていました。17世紀頃には朱印船貿易の中継都市として多くの日本人も移住し、日本人町も造られたそうで、今も旧市街に残る来遠橋は「日本橋」とも呼ばれています。
来遠橋(らいおんばし)
この来遠橋、橋といっても屋根が付いており、橋の上に建物が載っているように見えます。橋は16世紀末、日本人によって架けられたと伝えられていますが、建物はどう見ても中国風。日本人町と中国人町を結んでいたのだそうです。
人気の観光スポットで撮影する人が絶えない
橋の内部はお寺となっていて、入場にはチケットが必要です。通り抜けだけなら無料。(ただし、私が訪ねた初日は無料でしたが、2日目に行ったときはなぜか通り抜けでもチケットが必要だと言われました。係員によって対応が違うのかもしれません。)
橋の内部にはお寺があります
有名な観光スポットですので、周辺は撮影しようとする国内外からの観光客でいっぱいでした。夜には、新郎・新婦でしょうか、若いカップルが川に浮かべた船の上でポーズを取って大がかりな撮影も行われていました。
先ほど橋の入場にはチケットが必要だと書きましたが、ホイアンの古い建物や博物館などの観光スポットへの入場はチケットを事前に購入しておかないといけません。各スポットで入場料を払うのではなく、あらかじめ5枚綴りのチケットを街中に何ヶ所かあるチケット売り場で購入してから観光します。
この5枚のチケットで私が訪ねたのは、来遠橋を筆頭に、クアンタンの家、タンキーの家、フーンフンの家、貿易陶磁博物館で、ベトナムや中国、日本などの建築様式が混在した伝統的な家屋を見学しました。
「クアンタンの家」は、平屋の建築様式
間口は狭いが奥に長い造りで、中庭があるのが特徴
今も家族が住んでいるようで、一族の写真が飾られていました
「タンキーの家」。中国と日本の建築様式が融合しているそう
柱の装飾が美しい。お茶が振舞われ、英語でガイドも行われていました
約200年の建物だそうですが、重厚な雰囲気で歴史を感じます
「フーンフンの家」は、来遠橋の西側に位置します
こちらも約200年前の木造建築
2階の床には洪水の時に1階の荷物を2階へ上げるための窓があります
(ホイアンでは雨季の時期にトゥボン川が増水して
旧市街が水没することが今もあるそうです)
旧市街が水没することが今もあるそうです)
最後に訪れた「貿易陶磁博物館」
ホイアン周辺で発掘された陶磁器などが展示されていて、
日本も含めた往時の貿易の様子を知ることができます
日本も含めた往時の貿易の様子を知ることができます
6ケ所以上見学する場合は、さらにチケットの購入が必要となります。
歴史ある趣の街並みが人気のホイアンですが、夜になるとランタンに火が灯り、エキゾチックな雰囲気を味わえます。特に毎月旧暦の14日にはランタン祭りが催され、一層その雰囲気が際立ちます。
レストランの軒先を色とりどりのランタンが彩ります
旧市街の通りは、夜でも多くの観光客が行き交っています
また町を貫くトゥボン川の水面に、川沿いに並ぶ店の明かりが映るのもとてもロマンティック。ホイアンは日中だけでなく、夜まで滞在して楽しむのがおすすめです。
トゥボン川の川面で揺れる街の明かり
■ベトナム・1999年登録・文化遺産
■古都ホイアン
(Hoi An Ancient Town)
(文・山本 厚子)