肥後の国・熊本。県北部の菊池市は水と米どころ、それだけにとどまらず、こだわりの食材やその食材を活かしきったご馳走を提供するぜひとも訪れたい名店も構えるエリアです。また菊池温泉は、美肌の湯としても名高く、日本名湯百選に認定されている、いいお湯。
今年も、前後編に渡り、からだがよろこぶすばらしい食材たちと、それらを美味しくいただけるスポットのほか、目を疑うほど美しい水源、熊本地震以降閉鎖されており今春より再開した菊池渓谷もご紹介して参ります。
昨年掲載の「からだがよろこぶご馳走食材と名店を訪ねて〜熊本県菊池市」
(前編) (後編)につづき、今年のからだがよろこぶご馳走食材と名店を訪ねてのはじまりです。
乳牛ジャージー牛の雄を飼育する「宮川ファーム」
今回初めて訪問させて頂いた「宮川ファーム」。
乳牛として有名なジャージー牛。乳牛として価値を認められるのは雌で、乳のでない雄は肥育をしても身体が小さく、肉の量も少ないので、肉としての価値が低いとされ、生まれてすぐに殺処分されてしまうそうです。雄と雌がいることで牛の命がつながるという普遍の理論にも関わらずの殺処分。その雄の命をどうにか生かしきれないかという思いで飼育を始められた宮川素子さん。テニスコート2~3面分ぐらいの広さでしょうか、飼育されている牧草地にはジャージー牛の雄の仔牛が3頭。草のほか、遺伝子組換えをしていないとうもろこし、ぬか、小麦のふすまなどの飼料とともに飼育されているそうですが、この広さで飼育するには3頭が限界だそうです。
幼き仔牛を食べるということすら、字面を追うと人間の身勝手な行動とも感じてしまいますが、すぐに命を殺めてしまうより、事実を知って大切に命を頂く機会を作ってくださっていることに感謝を感じました。
ご家族のご協力のもと、宮川ファームを運営している宮川さん、こんな素敵な笑顔で飼育されている仔牛たち、きっとストレスなく毎日を過ごしているのだろうと思います。
菊池産ジャージー牛の仔牛、昨年も旅恋サイトでご紹介させて頂いております菊池のトラットリア「コントルノ食堂」で仔牛のツナソースや仔牛と生ハムのサルティンボッカ、仔牛のサルシッチャと原木椎茸のキタッラなどでいただきました。中でも、菊池健一郎シェフの手による絶妙な加減で火入れをされた仔牛はやさしくしっとりとした赤身の旨みでツナソースとも相性抜群、忘れられないひとさらとなりました。多頭飼いではないジャージー牛の雄の仔牛、ご興味ある方は事前に「コントルノ食堂」へお問合せをしてみてください。
元気いっぱい!自然栽培の「かもめ農園」
自然栽培・無農薬で、季節に応じた様々な野菜を育てているかもめ農園の今坂知章さん。お伺いした時期は夏野菜の収穫が終わりこれからの作物の植えつけ時期でしたが、ソバージュ農法で育てているトマトにぎりぎり出会えました。間引きなどはあまりせず、水も抑えながら、そのネーミング通り野生的に育てている路地栽培のトマト。お言葉に甘えもぎたてを味あわせて頂いたのですが、しっかりとした旨みと酸味で、歯ごたえもしっかり、イタリア現地の濃厚なトマトを思い出しました。
この8月、植え付けたのはかぼちゃだそうで、「霜が降りる3ヶ月前までに植えないといけず、そうでないとちゃんと育たない」とのこと。日々、空と大地と二人三脚をしながら野菜を育てている今坂さん、今年も植えつけ無事完了だそう、かぼちゃの実りが楽しみです。
無農薬・無肥料野菜の「なないろ農園」
昨年、旅恋サイトでもご紹介をした「ナポリピッツァ研究所イルフォルノドーロ」のなないろ農園ピザは、熊本産の小麦粉を軸に作られたこだわりの生地に彩り豊かななないろ農園の野菜がところ狭しと添えられ、こだわりの自家製チーズとともに仕上げられているひとしなで、旨みやにがみ、あまみなど、野菜の個性が最大限に活かされ且つ美味しく調和している絶品ピザ。例えるなら滋味深い生地で作られたステージの上で、個々の野菜が、それぞれ自分の個性を最大限に表現しているオーケストラのよう。
菊池の恵まれた水と肥沃な大地を活用し、農薬を使わない野菜作りをしていらっしゃる、なないろ農園の亀川直之さんとお会いすることができました。今回は残念ながら畑への訪問は叶わなかったのですが、なないろ農園の野菜は熊本のほか、福岡や東京でもいただけるお店があるそうです。ご興味のある方はなないろ農園のホームページをぜひご参照ください。
走る豚や放牧鶏有精卵の「やまあい村」
養豚家・武藤勝典さんは、「やまあい村」で、自由に走ったり、眠ったり、食事をしたりして過ごしている「走る豚」と呼ばれる放牧豚を育てています。昨年の旅恋サイトでもご紹介しておりますが、今回はやまあい村の「放牧鶏の有精卵」のご紹介です。
以前産廃業者の建設予定地だったところを、武藤さんのお父様と武藤さんがこの自然環境を守りたいという思いから買い取った場所で、自然に対する思いのもと、豚や鶏などを飼育されています。やまあい村の卵は、時々感じる生卵特有のにおいもなく舌触りもとてもナチュラル、加熱した際も上品なたまごのあまみが様々な料理に寄り添ってくれるすばらしい卵です。
後編では、築100以上の古民家で営まれているごはん屋さんや、熊本のすばらしい食材を購入できるお店のほか、熊本地震以降閉鎖されており今春より再開した美しき水源、菊池渓谷もご紹介して参ります。どうぞお楽しみに。
<主な取材ご協力先>
●「宮川ファーム」
〒861-1312 熊本県菊池市森北1478 / 090-8417-2379
●「かもめ農園」Facebook内のかもめ農園のページ
https://www.facebook.com/kamomenouen/?ref=br_rs
●「なないろ農園」https://nanairo-farm.jimdo.com/
●「やまあい村」http://yamaai-mura.com/
●「ナポリピッツア研究所イルフォルノドーロ」Facebook内のナポリピッツァ研究所イルフォルノドーロのページ
https://www.facebook.com/napolipizzakenkyujo/
●「コントルノ食堂」Facebook内のコントルノ食堂のページ
https://www.facebook.com/trattoria.contorno/
熊本・菊池はやっぱり美味しい!からだがよろこぶご馳走食材と名店を訪ねて〜2018(後編)へつづく
(文と写真:奥田ここ)