あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

第45回 歴史的な近代建築に出合う、日本情緒ではない金沢歩き (石川県・金沢市)

加賀百万石の城下町・金沢といえば兼六園や武家屋敷、茶屋街など、どちらかといえば和の印象が強いかもしれません。しかし明治・大正期に造られた近代建築も多く、第二次世界大戦の戦禍を免れたため、今も多くが残り、活用されています。

兼六園の南に位置する「石川県立歴史博物館」は、かつて陸軍の兵器庫だった赤煉瓦の建物3棟を活用したもの。19091914年に竣工した兵器庫は、戦後、金沢美術工芸大学として用いられ、その後移転・復元されて重要文化財に指定されています。

 

金沢県立博物館。中庭にはかつての砲台なども

隣接する「国立工芸館」も旧陸軍施設で、第九師団司令部庁舎と将校の社交場であった金沢偕行社の建物です。金沢に軍が置かれたのは明治維新の5年後の1873年。つまり明治から終戦まで、軍都としての役割がありました。

 かつての社交場、金沢偕行社の建物

もうひとつ、赤煉瓦の建物で目を引くのが旧制第四高等学校の校舎を利用した「石川四高記念文化交流館」と「石川近代文学館」です。1891年に完成、桟瓦葺の屋根、外観には白煉瓦などを用いてリズミカルな印象を付けています。1階が主に教員室や事務室、2階が教室だったそうです。正面入り口付近の旧門衛所がミュージアムショップ、館内の一室がレトロ衣装体験ルームになっており、着物や袴などのレンタルを行なっています。

 

ここから歩いて2分のところにあるのが、「石川県政記念 しいのき迎賓館」。1924年建築の旧県庁で、金沢で初の鉄筋コンクリート造建築物です。2010年にリニューアルされ、正面は往時のままで、外装はスクラッチタイル、内装には漆喰仕上げの天井や漆塗りの扉、ステンドグラスなどが用いられ、当時のモダニズムを表現しています。

立派な椎の木が聳える

建物の反対側に回ると、現代的なガラスの空間になり、斬新な佇まいです。館内には加賀の伝統品のセレクトショップ、フレンチの巨匠、ポール・ボキューズの名を冠するレストランとカフェなどがあります。

内部も重厚感あり

もうひとつご紹介したいのが、瀟洒な学校建築。「金沢くらしの博物館」として活用されている、1899年建築の「石川県第二中学校(通称・金沢二中)」の校舎です。玄関には車寄せがあり、上げ下げ窓などがいかにも明治の西洋風木造学校です。

 

左右両翼に尖塔があり、さらに正面玄関上にある屋根を尖塔に見立てて、三尖塔校舎と呼ばれていました。重要文化財に指定されています。

 

金沢にはほかにもレトロモダンな建物が多く、市ではモデルコースを設定しています。ご参考に、歩いてみてはいかがでしょうか。

金沢旅物語 

 

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