昨年秋。訪れたのは四国徳島県の三好市の山の中。かつては子供達が走り回っていた小学校は町の過疎化につれて廃校となり、10年近くの間そのままの状態になっていました。この場所を活用するプロジェクトの存在を知って、思い切って東京から移住したデザイナーの植本修子さん。デザインの仕事を請け負う「ハレとケデザイン舎」を設立して、校舎のリノベーションを進めながら、地元の人たちと少しずつ心を通わせてきました。
そして2014年、リノベーションカフェ「ハレとケ珈琲」をオープン。その後、たびたびワークショップなどを開催しながら、ホステル運営も始めました。
廃校から18年経った今も、味わい深く古びた校舎や体育館は、思わず子供達が飛び出してきそうな小学校そのもの。ところが引き戸を開けてびっくり、アンティークソファやテーブルが並ぶカフェ、ベッドが設置されたゲストルームに子供達のおもちゃが並ぶプレイルーム。別棟で隣接した小屋サウナは地元の元大工さんが手造りしてくれたそうで、フィンランド式の清潔感あふれるサウナからの眺めは大自然に抱かれている実感がありました。まさに非日常が味わえる特別な空間です。
新しく建てられたサウナは全国からサウナ好きが集まる人気スポット
鳥の声と川のせせらぎに耳を傾けてコーヒーや薬膳茶を楽しんだり、サウナで汗を流して緑に包まれて外気浴でリフレッシュ、ものづくりのワークショップに参加したり、こども図書室で読書したり。この場所では老若男女かかわらず、それぞれが純粋に好きな時間に興じられる贅沢がありました。
植本さんはこの場所以外にももう一つ廃校活用施設を運営しています。それが「シモノロ・パーマネント」。古い木造建築の校舎は眺めていると可愛い子供達の声が聞こえてきそう。こちらの一角はかつて体育館だった建屋を植本さんご自身の住まいとしても活用されていますが、驚くほど素敵にリノベーションされていました。
そしてここにも可愛らしい小屋サウナが。こちらは薪火を使ったサウナで、小屋すぐ裏にある吉野川水系の鮎苦谷川(あいくるしたにがわ)に飛び込んで熱った体を冷まし、空を仰いで外気浴。なんという贅沢! 最近では四国No.1のサウナとして人気を得て、日本全国、そして海外からの訪問客も多いとか。
こうしてかつて子供達が自由に走り回っていた空間は、再び人が訪れて息を吹き返してさらに進化中。「ハレとケ」とは「特別な日」と「日常」を表し、日本の伝統的な時間の考え方です。大自然の中の静寂に身を置いて、五感を研ぎ澄ませると、特別でありながらも本来日常であるべき自分自身の時間と向き合うことができそうです。
「ハレとケ珈琲/山ノホステル」
住所:徳島県三好市池田町大利大西15旧出合小学校
電話:0883-75-2208
2024年4月から特別宿泊プラン「注文の多い誘眠店」がはじまります!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000114870.html
「シモノロ・パーマネント」
住所:徳島県三好市池田町西山中塚1093