テラスもある湯殿。日帰り入浴は現在のところ受けてないそうです
後半は海癒の温泉のお話。(前半はこちら)
こちらの温泉、地元事業家だったみつさんのお父さんが20年ほど前に掘り当てた自家源泉です。源泉井戸は宿から500メートルほど離れた小さな川沿い、掘削の深さは約1キロ。泉温28度のナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉でpHは8.7。これらは平成18年の分析書からの数字ですが、肌感覚からすると、もう少しpHが高いのではと感じました。
若干にごりがあり、とろりとしていて、入るだけで肌にローションを塗っているかのようなすべすべ感があります。ほのかな温泉香が心地良く、塩分も感じます。
加温浴槽と、加温なしの浴槽、奥には天然水の浴槽が配置。湯殿も脱衣場も広々としていて天井が高く、立ち上がると窓から海が見えます。温泉は溜め湯になっており、湯口部分のレバーを回すと90度の温泉がどっとあふれ出てきます。と、ぷんと薪の匂い。薪で加温するというのもこだわりの一つです。みつさんによると、「近くの古民家を解体するときに出る木材をもらって薪にしている」のだそうです。なんともエコですね。
入浴時間は、夕食前の数時間のみ。入浴は基本一回だけになってしまうので、心して入ったためか、いつもより長湯をしてじっくりとお湯を味わいました。その間、ずっと独泉だったこともあり、湯質のすばらしさを全身で感じることができました。高知でこんないい湯に入れるとは、正直、思いませんでした。ただし宿泊客の多い時だと、若干印象が異なるかもしれません。温泉目当ての人は、人の少なそうな時期を選んで訪れることをオススメします。
こうして原稿を書いていると、海癒で過ごしたのどかな時間や、おだやかな空気感、海や空の大きさを思い出し、飛んで行きたいような気持ちになってきます。表裏のないご家族の自然体のもてなしや個性的な運営スタイルは、合う合わないはあるかもしれませんが、まずは一度、行ってみて欲しいなあと思います。旅する楽しさを教えてくれる大切な温泉&宿になるかもしれません。
海癒
電話:非公開 住所:高知県土佐清水市大岐の浜2777-12