桜の開花は年々早くなっているようで、京都でも入学式の頃には葉桜になっていたという話を聞きます。ただ大昔から観光都市だった京都は、早咲き遅咲き多種多様の品種があるので約1か月間どこかで桜を愛でることができます。
円山公園、哲学の道、疏水沿い、嵐山などに多くの人が集まりますが、趣が深いのにそれほどの人出が少ない桜の社寺を紹介します。そこは西陣北エリアで、北大路から南へ200m~500ⅿ、東西は新町通~西大路通の中に、豊臣秀吉が京都改造計画によって集められた寺院が点在しています。
まずは堀川北大路を200ⅿ下がった東側にある「水火天満宮」です。バス停天神公園前の目の前にあります。天満宮なので祭神は菅原道真ですが、日本で最初の天満宮と言われています。狭く東西に長い境内のすべてを3本の枝垂れ桜の枝が低く覆っていて、開花時期には花の天井になります。夕刻になると桜越しに拝殿の提灯に灯がともり幻想的になります。
境内の真ん中から東を向いて、左の奥が水火天満宮の本殿、
右が 六玉稲荷の 赤い鳥居。境内のほぼ全部に枝垂桜の花が被さっています。
水火天満宮を100m下がると裏千家茶道総合資料館があります。すぐ北にあるのが日蓮宗の寺院・本法寺です。堀川通から小川通まで境内が広がり、東の小川通に面して仁王門があります。その真向いは裏千家今日庵で、すぐ南は表千家不審庵です。上御霊通から寺之内通までの小川通は、リンと張りつめた空気が流れ、通るときはいつも緊張します。
本法寺は長谷川等伯ゆかりの寺で、等伯筆の10m✕6mもの巨大な佛涅槃図が見られます。(普段はレプリカです)
仁王門を額縁に見立てると、奥にある多宝塔と参道沿いの桜並木が一幅の絵になります。本堂前の見事な古木の白い桜と多宝塔側にある濃い色の桜の対比が美しいです。
小川通を寺之内通まで下がり、東へ50mも行くと日蓮宗の妙顕寺があります。紅葉・桜ともに美しく、春秋には特別参拝が開催されます。まず入口の総門前の枝垂桜が出迎えます。
桜の多くは本堂の北あたりです。石塔の周り、勅使門前と透かし窓越しに見える染井吉野、本堂と庫裏に架かる橋と庫裏の前にある枝垂桜などが撮影ポイントです。
寿福院塔(石塔)から西を見ます。
右に勅使門、正面に大本堂への渡る橋が見えます
次号は西陣西エリアをご紹介します。