「馬鹿と煙は高いところへ上る」「馬鹿と煙は高いところが好き」などといいますが、高いタワーに上っていく感覚、好きです。タワーとは塔のことを指しますが、展望台などがある観光用や放送用の電波塔の役割があるものとして、話を進めます。
1961年、東京タワー、通天閣、名古屋テレビ塔の3塔で全日本タワー協議会が発足し、現在は20のタワーが加盟しています。このなかでは名古屋テレビ塔が1954年生まれと一番の古株、2020年に大規模工事を終え、中部電力MIRAI TOWERとしてグランドオープンしました。タワー4・5階にはホテルがあり、タワー自体が初の重要文化財に指定されています。
東京に住むものには、何といっても東京タワーほど眩しいものはありません。昭和33年(1958)、333m。なんて覚えやすいのでしょう。自立式鉄塔としては東京スカイツリーに抜かれるまでは日本一の高さを誇り、昭和のシンボルであり東京の高度経済成長とともに歩んできました。建設にあたっては、落下防止用のネットも安全帯も手すりもないという状況で、鳶職人たちが作業をしたそうです。赤(厳密にはオレンジ色)と白のツートンカラー、どっしりとした足元、やはり美しいです。
東京タワーと東京スカイツリー
大分の別府にある別府タワーもちょっと気になる存在。名古屋テレビ塔や東京タワーなどを設計した建築家・内藤多仲氏、通称・塔博士の手による、別府観光のシンボルで、東京タワー完成の一年前に誕生しているお兄さんです。建物の上に鉄骨構造の塔が組まれているので、ちょこんと乗っている感じです。私が行ったときはちょうど工事中で、2023年にリニューアル。鉄骨部分にLED照明が増設されたそうです。
そして最近見つけたのが、滋賀県にある長浜タワー。1964年に、地元の資産家が長浜にも東京タワーのような名物を造りたいと建設。5階建てのビルの上に鉄塔が立っています。なんとも昭和レトロな佇まいが、長浜という太閤秀吉の城下町にぴったり。しばらく空き家状態だったそうですが、改修されテナントも入る予定とか。壁面の「NAGAHAMA TOWERBILL」の文字がいい味を出しています。
角度が変わると印象もガラリと変わります
そして、最後にパリのエッフェル塔。2024年はパリでオリンピック・パラリンピックが開催されますから、このタワーも画面越しに何度も目にすることでしょう。完成は1889年、万博の目玉になる大建造物として竣工されました。高さは300m、最上階は276m。以前訪ねたときにエレベーターの大行列にうんざりして、階段で上まで上がりました。その階段の途中途中に、塔の歴史や工法などの説明があり、大変でしたが楽しく上った記憶があります。
セーヌ川遊覧船より
タワーには、無骨ながら優美、奇想天外的な独特の美しさが宿ります。