京都には広大な観光寺院とも呼ぶべき参拝寺院が多い印象ですが、大半は、町並みに溶け込むようにしてたたずむ地元の住民しか知らないような小さな寺院ばかりです。
住宅街の中にあって、通り名にもなっている寺院の同級生の僧侶が話していたのは、「現在の既存仏教が、法事や葬儀などの儀式としての存在のみで、人々の暮らしや悩みに関わっていない」と。今回取り上げる佛現寺の副住職、油小路和貴さんも同じ思いをされています。
内陣
佛現寺は、1600年頃開基の中京区六角油小路にある14代続く浄土真宗の寺院で、1868年の鳥羽伏見の戦に巻き込まれ、十条から現地に移り、再建されたようです。小さな門をくぐり、20歩ほど境内を進むと本堂です。
油小路さんは、1990年生まれ、同志社大学を卒業後、銀行員を経て実家の佛現寺を継がれています。寺が人々の実生活にかかわっていきたい、仏教はライフスタイルであり、居場所づくりをしたいと常々思っておられました。2022年の新年会で小学校の同級生の渡邊高行さんに対して、今の思いや、世間一般に言われる仏教や宗教のイメージをひっくり返したい、なんとかしたいという想いをぶつけました。
お勤めをする油小路副住職。ちなみにお寺の前の道の名前も油小路です
渡邊さんは(株)GnsというWebやアプリを開発するITベンチャー企業を経営されており、油小路さんの想いに共感し、いろいろな人の人生における「とまり木」のような寺でありたい、との願いを込めて「とまり木」プロジェクトを立ち上げます。その活動の一つに、お酒を片手に仏教を感じ・楽しむ「てらのみ」があります。
本日の日本酒の面々は副住職自ら選びます。
純米、大吟醸、生酒が主で、特に生酒は味わいの変化を楽しめて、
諸行無常を感じて欲しいとのこと。
京都のクラフトビール、ウッドミルブルワリーのゴールデンエールとはっさくホワイト
およそ毎月末の土日のどちらかに行われ、誰でも参加出来る角打ちスタイルで、日本酒呑み比べ(2,000円)、京都のクラフトビール(700円)、京漬物のつまみ小分けパック、副住職手作りのつまみがあります。多くの参加者があり、本堂内、縁側や境内など思い思いの場所で「てらのみ」が広がっていきます。
本堂や境内に面した縁側など、好きな場所で、いろんな人と思い思い語りながらお酒を飲みます
本堂縁側から見た境内、本日のつまみ、副住職の焼き枝豆~にんにく風味~300円、
漬物4種セット300円単品100円
開始から1時間ほど経った頃に、お勤めと簡単なお説法があります。あれだけワイワイしてたのに、お勤めと法話の間は、静かになります。お寺ならではです。同志社大学街づくりサークルの学生がボランティアで手伝っていました。
内容や予定は下記のURLから。基本的に14時~ですが、夏季は16時~になるようです。