古代ローマ帝国の繁栄を今に伝えるローマ。いたるところでフォロ・ロマーノやコロッセオなど数々の遺跡群に出会えます。また、サン・ピエトロ大聖堂や、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの名画が並ぶヴァチカン美術館、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによる彫刻が豪華に内部を飾る数多くの教会やボルゲーゼ美術館、ミケランジェロが設計した広場に建つカンピトリーニ美術館など、すばらしい美の宝庫でもあります。
遺跡がローマの光景を造ります
いくら時間があっても足りないほど見どころ豊富なローマですが、ガイドブックではあまり紹介されない場所のひとつが、イタリア共和国大統領官邸の「クィリナーレ宮殿」かもしれません。大統領官邸として現在も使われていますが、完全予約制で一部が見学OKとなっています。ここは実は、かつて日本に関わりがあった場所なのです。
4年前に初めてイタリアへ個人旅行した際に訪れたこちらの宮殿を、前後編でご紹介します。
クィリナーレ宮殿
クィリナーレ宮殿は、市街地からテベレ川にかけて点在する7つの丘のひとつであるクイリナーレの丘の上にあります。トレビの泉から歩いて5分ほどです。
16世紀にローマ教皇グレゴリウス13世が、この場所にあった枢機卿の邸宅や庭園を拡張して離宮として使い始め、その後、歴代教皇の宮殿、ナポレオンの居城として歴史を重ねていきます。そして、イタリア王国が誕生して国王の公式な宮殿となり、1946年に王政が廃止されるとともにイタリア共和国大統領官邸として今に至ります。
豪華に施された彫刻や絵画
莫大な権力を有していた教皇の邸宅にふさわしく、イタリアの画家、アントニオ・カラッチやベルニーニなど当時の一流の芸術家らの手による絵画や彫刻、タペストリーや磁器などもコレクションに加わっていきます。360年以上もの期間をかけ、クィリナーレは華麗で美しい宮殿へと造り上げられていったのです。
そしてまた、大統領官邸となった1946 年から現在に至るまで、建築構造や宮殿の内装は当時とほとんど変わっていないとか。別荘や宮殿としての歴史を辿ってきただけあり、見学ルート上でも調度品や天井画、モザイク画、シャンデリアなど華やかで美しい設えを見られます。
見上げると天井にも
見学していて特にクィリナーレ宮殿で興味を惹かれるのが、大広間の壁に描かれている支倉常長(はせくらつねなが)による「慶長遣欧使節団」。ですが、この話はまた次回。
ちなみにクィリナーレ宮殿の見学は完全予約制でイタリア語によるガイドツアーのみ。私はイタリア語がわからないので説明はスルーするだけ、ただ宮殿の美しさに魅了されるのみでした(笑)。
この日同じ組で参加したのは、私とイタリア人母子の2組のみ
警備員が後ろに付きます
クィリナーレ宮殿 https://palazzo.quirinale.it/palazzo.html
◇おひとり様ポイント◇
完全予約制なので、巨大な宮殿内でも迷うことはありませんので、一人参加でも安心です。