JR札幌駅から徒歩約10分、北海道大学の正門に到着。この札幌キャンパスは約180万㎡の規模を誇り、一般に広く公開されています。北海道の開拓の歴史、近代化の歴史を知ることができるキャンパスを歩いてみましょう。
古河記念講堂
まず正門の近くにあるインフォメーションセンター「エルムの森」で、広い構内を歩くのに欠かせないキャンパスガイドマップを入手。構内には2つの川が流れ、エルム(ハルニレ)が聳え、ポプラ並木もあり、どこを歩いても清々しさに満ちています。キャンパス巡りをする前に「北大マルシェCafé&Labo」に立ち寄り。北大農場の搾り立て生乳で作った濃厚なジェラート片手に散策開始です。
北海道大学の前身は札幌農学校。開校は明治9年(1876)のことです。新政府の重要課題である北海道開拓。そのビジョンは酪農を含めた農業でした。先進国の近代的な技術や知識を学ぶ。そのために招聘されたのが、アメリカ・マサチューセッツ農科大学学長だったクラーク博士です。正門から直進し、博士の銅像が立つロータリーまで進みます。
その前に右手に見えてくるのが古河記念講堂です。古河財閥の寄贈によるもので、玄関ポーチを中心に左右対称の瀟洒なデザインで、左右の翼屋にマンサード屋根があります。建築年は明治42年(1909)。
クラーク像の斜め前にあるのが旧昆虫学及養蚕学教室。札幌農学校の校舎群が開校当初の位置(現在の札幌市時計台あたり)から現キャンパスに移転したときに建てられたなかで、現存最古のものです。竣工当初は瓦葺の屋根だったそうです。左右の三連窓がお洒落ですよね。
次に立ち寄りたいのが、総合博物館です。建物は旧北海道帝国大学理学部本館として昭和4年(1929)に建設されました。本格的な鉄筋コンクリート造りで、外壁は茶褐色のスクラッチタイルとテラコッタ張りのモダン・ゴシック風。
階段室天井はアインシュタイン・ドームの名で親しまれています。四方の壁には4つのレリーフがあります。館内には多分野の学術標本や研究成果の公開展示、ミュージアムショップやカフェもありますのでちょっとひと息にぴったりです。
前編はここまで。後編は重要文化財の札幌農学校第2農場をご紹介します。