蓮の花の後半は、京都市内の中心部、南、西です。前編はコチラ
蓮池を訪ねてみると、共通点があります。それは石橋で、一般の山門から少しはずれた勅使門の前に架かり、そのまま本堂まで一直線に参道が伸びているレイアウトがよく見られます。渡ることで、いわゆる「六道」を断ち切るという意味合いや、学僧にとっては俗界を離れて修行や学問に徹する覚悟をさせるためとされています。
中心部は建仁寺です。建仁二年(1202年)源頼家将軍が寺域を寄進し、栄西禅師を開山とした、臨済宗建仁寺派の総本山です。四条花見小路を260m下がった西側、祇園甲部の真南です。蓮池(放生池)は境内の南西端で、勅使門の前です。蓮は石橋で区切られた左右の池の中央にかためられていて、まるで生け花のようです。
左上下:建仁寺放生池、穴場で人がいないです 右上下:建仁寺の紅白の蓮、太鼓橋のような石橋です
南は教王護国寺(東寺)です。言わずと知れた平安京を鎮護するために建立された官寺です。桓武天皇の次の嵯峨天皇から託された空海によって日本初の密教寺院になりました。真言宗の総本山で世界遺産です。境内の東南に立つ五重塔は54.8mで、木造塔では日本一の高さです。また京都の建築物の基準になっていて、東寺の五重塔より高い建物は作れない決まりです。
蓮池は大宮通沿いの慶賀門から入ってすぐ、境内の北東の位置です。何種類もの蓮がありますが、魚山紅蓮という半八重の種類が最も多いです。蓮は午前に開花し、昼頃花びらを閉じます。朝の半逆行気味の光で、花びらを透かせて、背景に五重塔を入れて撮影しましょう。
東寺の蓮と五重塔を背景にしたスタンダードな写真
西には天竜寺、小倉池、大沢池などいくつも蓮で有名な場所がありますが、蓮の寺と呼ばれている律宗の法金剛院を紹介します。
平安時代(830年)の右大臣清原夏野の山荘でしたが、死後双岡寺という寺院になります。平安末期(1130年)に再興させたのが、崇徳天皇(日本三大怨霊のひとり)、後白河天皇、の母親待賢門院です。双ヶ岡の南、JR花園駅の前にあります。回遊式庭園で90品種もの蓮が見られます。拝観料が必要ですが、花時期は早朝から観蓮会が開かれます。
法金剛院入口と北向きに見た蓮の花
法金剛院では目の前で蓮の花を見ることができます