温水洗浄便座、自動開閉のタッチレス便座、節水、音姫、着替え台、補充用トイレットペーパー、そして清潔。日本人ほどトイレにこだわる人種は世界でもなかなかいないはずです。ヨーロッパで見かける有料トイレはスタッフが常駐していることが多いため、それなりに安全で衛生的ですが、日本では無料の公衆トイレですら安心して使えることがほとんどです。 そんな中、渋谷区で誰もが快適に公共トイレを使用できるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」が2020年8月よりスタートしています。これら17カ所の公共トイレのデザインを手がけるのは16人のクリエイターです。 例えば、2023年1月に供用開始した14ヶ所目のトイレを手がけたのは、2014年のApple Watchをデザインし、アップル、エルメス、ナイキなどともコラボした工業デザイナーのマーク・ニューソン氏。
マーク・ニューソン氏によるトイレは北参道交差点近く、首都高速道路4号新宿線の高架下
歌舞伎座や国立競技場、そして界 別府などを設計した建築家の隈研吾氏は、高級住宅地で知られる松濤にある松濤公園のトイレをデザイン。緑豊かな公園にも違和感ないよう木がふんだんに使われています。
清掃は手間がかかりそう!?な松濤公園のトイレ。
右下は隈研吾氏による静岡県富士山世界遺産センター
避難所などで使われる紙管を使った間仕切りや、大分県立美術館の設計などで知られ、建築界のノーベル賞とも称されるプリツカー賞を受賞した坂茂(ばん・しげる)氏は、通常は透明で、鍵を締めると不透明になる代々木のガラスのトイレをデザインしました。
トイレに入る前に中に誰もひそんでいないか確認できる。 冬季の低気温で不具合が生じており、現時点では常時不透明の状態で利用
他にも、天井に向かう螺旋状のスロープがある表参道のSpiralビルを設計した名建築家・槇文彦氏による恵比寿のタコ公園のイカトイレ。ルイ・ヴィトンやJINSなどとのコラボも手がけるファッションデザイナーのNIGO氏による、まるで一軒家のようなかわいらしい神宮前のトイレなど、各クリエイターによるトイレが渋谷区に点在しています。
タコ公園のイカトイレ。右下はSpiralビル(過去展より)
NIGO氏による神宮前のトイレ
ちなみに、どの公共トイレもオストメイト用設備が完備されています。有名建築家・デザイナーによる渋谷のトイレ巡り。究極のおひとり様アートアクティビティかも!?一度いかがでしょうか。
プロダクトデザイナーの田村奈穂氏による恵比寿駅近くのトイレ。 狭い土地によく考えられた構造
◇おひとり様ポイント◇ 駅から少し離れた場所にあるトイレもあるので、トイレ巡りの際はレンタサイクルが便利です。