世界のファインダイニング by 江藤詩文

第46回 あのゴウさんが料理人人生の集大成として創りあげた夢のダイニングはターブルドット「Goh ゴウ」(福岡・博多)

先ごろこちらで紹介した、世界で類を見ないユニークな”イージーカヤ”「GohGan ゴウガン」(*関連記事はこちら)。2023年1月、その仕かけ人のひとりである福山剛さんが、GohGanが店を構える「010 BUILDING」の3階に自身の名を冠したファインダイニングをオープンしました。その名も「Goh ゴウ」。

(Gohの店内。ディナーのみ1日1テーブルで最大14名まで)

コンセプトはターブルドット。元はフランスの地方で、宿の主人や食堂の店主が客と同じテーブルにつき、行きずりの客同士が共に食事をするスタイルを指していました。それがガストロノミーの世界に持ち込まれて進化。ひとつのメニューかつ一斉スタートにすることで、シェフはよりダイナミックで新しい表現に挑戦し、同じ体験を共有したゲストが発する高揚感がダイニングシーンを盛り上げたのです。

(時代も国籍も超越したガストロノミックなプレゼンテーション)

そして2023年。みんなで食事を楽しむという行為が難しかった2年半を経て、シェフたちは、人々が食卓を囲むレストランの存在理由をあらためて問い直しました。そこから導き出されたアンサーのひとつがターブルドット。何かの縁で同じ日に集まったゲストが、ゲスト同士やゴウさんたちもてなす側とも自由に交流し、みんなが同じ料理を一緒に食べながら楽しい時間を分かち合う。そんな温かい空間はいまの時代の気分に、そして何より”博多の太陽”として地元で慕われるゴウさんにぴったり。世界のレストランの中でも、ゴウさんは飛び抜けてターブルドットと親和性が高いと思う。

(福岡や九州のものを中心に信頼する生産者の食材が使われています)

(フレンチのソースもあれば締めは雑炊もありと自由自在。
料理ジャンルは”ゴウ料理”と位置付けたい)

日本で初めて皇室に納める洋食器を手がけた窯元とのご縁からオリジナルのお皿をつくってもらうなど、人や地域との繋がりを呼び込む星の下に生まれたようなゴウさん。海外や東京に行くことなく、地元の福岡を中心にコミュニティを大切に育んできたゴウさんならではの、20年間の思いがぎゅっと凝縮したダイニングは、赤いお星様の言葉を借りるなら「そのために福岡に旅行する価値のある」一軒。

(スーシェフの高山裕史さんにソムリエの嘉村慎之助さん。
ゴウさんファンにはおなじみのチームが迎えてくれます)

ゴウさんが演出する日本では希少なターブルドット体験。特別な2時間半がすべてのゲストを温かく待っています。

Goh ゴウガン https://010bld.com
*「010 BUILDING」公式サイトから予約できます
*記事内の情報はすべて訪問時のもの。季節やお店の事情により変更されます

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