あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

記念日に行きたい宿⑥別邸音信(おとずれ) 山口県長門湯本温泉

 旅の目的になる宿
「別邸 音信」

音信入口IMG_6301

山口県内最古の温泉といわれているのが長門湯本温泉です。
音信川を中心に形成される温泉街には昔ながらの共同浴場があり、
江戸時代からの湯治場の面影を残しています。温泉はアルカリ性単純温泉。
なめらかな湯は肌にやさしく心身がほぐれるようです。
由緒あるこの温泉地にある「別邸 音信」は、老舗旅館「大谷山荘」の別邸として平成18年に開業しました。
宿のコンセプトは湯治モダン。日本文化の粋が随所に現われ、ラグジュアリーな心地よさがあります。

宿の玄関の扉が開くと、目の前には水盤が広がります。
回廊を巡り次の扉が開くと風が吹き抜けるホール。
庭園と一体となるこのホール、四季をそして一日の変化を感じることができる空間です。
もうここまでのアプローチで、めまいがするような非日常の演出にノックアウトです。
お着きのお茶は、お茶室で和服美人のもてなしです。

音信ロビーIMG_6274

客室は18室、メゾネットタイプや和洋室などすべて設えが異なります。
高い天井と露天風呂がある広いバルコニー。家具・調度品は和洋アジアンが上品にミックスされ、
居心地が良い、というか良過ぎるほどで、もう部屋から出たくなくなるほど。
冷蔵庫内フリーのホームバーや、大型ビジョンのホームシアターなども備わり、至れり尽くせり。
楽園のようだわ〜。

音信客室IMG_6282
音信客室風呂IMG_6280 音信テラスIMG_6279

温泉は部屋の露天風呂はもちろん、館内の大浴場、さらには本館の大谷山荘へ専用通路を抜ければ、
本館の大浴場も自由に使うことができます。
湯浴み三昧で、どう考えても1日では回りきれないという、うれしい悲鳴。
そしてお楽しみの夕食も、想像以上のスケールなのです。

音信大浴場IMG_6320

食事処「雲遊」でいただくのは「美味草紙(うまぞうし)」と名付けられた、
まったく新しいスタイルの日本料理。
まずは長門湯本の名刹・大寧寺の精進料理を参考に作られた典座(てんぞ)料理から始まります。
料理長が、地域の特徴を出すためにと大寧寺で勉強し習得した料理で、
一汁三菜の動物性油脂を一切用いない膳です。
胡麻豆腐や、須々保里(すずほり)漬けという玄米酢ともろみで漬けた漬け物、
俵山の豆腐で作る擬似豆腐など。風呂上りの体に優しく染み入り、胃がすんなりと落ち着きます。
このあとにお肴(あて)しだいという、一品料理が続きます。
八寸・吸い物・お造り・小鍋・焼き物・椀物・飯・水菓子。
さらに町屋料理というおまけの郷土料理も。
これらが供される日本酒に合うこと、合うこと。
手間隙かけて丹精に作られた料理が口福の極みとなります。
料理は日本料理のほかに、フレンチ、鉄板焼きも選ぶことができます。

典座料理IMG_6289

料理を堪能したあとは、水盤を眺めるバーのカウンターへ。あ〜幸せ。
ゆっくりと贅沢な時間が流れていきます。

音信バーIMG_6309 音信水盤IMG_6306

館内にはライブラリー、スパ、フィットネスジムなども完備。
裸足で浴衣でどこをうろうろしても気持ちがいい空間が広がり、
ホテルライクの機能性や使いやすさも、もちろんしっかり備えています。
さらにスタッフの客との距離感が抜群で、付き過ぎず離れ過ぎず。
う〜ん、やっぱりどう考えても1泊ではこの宿を楽しみ尽くせない...。
素敵すぎて、とにかく"おとずれ"てみて下さいという言葉しか出てこない...。
旅の目的となる宿、そう言い切れる貴重な宿のひとつ。ぜひ連泊をお薦めします。

山口県長門市湯本温泉 別邸 音信 1泊2食付きひとり3万6900円〜。

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