この秋公開されたブラット・ピット主演の映画「ブレット・トレイン」は、日本が舞台ということで話題になりました。原作は伊坂幸太郎の『マリアビートル』で、新幹線内で繰り広げられる殺し屋たちの戦いが描かれています。小説では盛岡へ向かう東北新幹線ですが、映画では「京都行き」新幹線の設定。やはり海外で新幹線と言えば、フジヤマの東海道なのですね。
さて、各地に「〇〇富士」が存在しますが、東北にも美しい独立峰があります。弘前市にそびえる岩木山もその一つ。「津軽富士」と称される青森県の最高峰は、太宰治の小説「津軽」にも登場します。
弘前公園からは岩木山の全容が望めます。標高は1,625m
津軽平野を見守るようにそびえる岩木山は、古くから山岳信仰の拠り所となっており、地元の方々から「お岩木山」や「お岩木様」と呼ばれ、親しまれている存在。旧暦の8月1日に五穀豊穣や家内安全を祈願して集団で登拝する「お山参詣」の行事が、今も執り行われています。
山頂に鎮座する岩木山神社は宝亀11(780)年に創建され、その20年後に征夷大将軍・坂上田村麻呂が山頂を奥宮とし、山麓に下居宮を建立。さらに下居宮は、寛治5(1091)年に現在の地に奉遷されました。
岩木山神社の大鳥居
岩木山神社の鳥居の前に立つと、はるか向こうに岩木山の頂が!木々に囲まれた境内には、厳かな空気が流れ、石畳の参道を進むと、朱色の楼門が彩りも鮮やかに見えてきます。手水舎は、3つ首の竜神様をかたどったもので、その口から岩木山の湧き水がたっぷり流れ出ています。手を清めるのはもちろん、飲用もできるので、岩木山のパワーをたっぷり取り込みましょう。
江戸前期建造と伝わる楼門をはじめ、
拝殿、奥門、中門、本殿が国の重要文化財に指定されています
苔むした竜神様の口から絶え間なく湧水が流れ出る手水舎
拝殿前の柱にしがみつくように鎮座する狛犬も注目です。上向きは金運、下向きは恋愛運にご利益があるのだそう。愛嬌たっぷりな二体の狛犬に思いを託して、古社を後にします。
上向き、下向きの狛犬がユニーク